ニューヨーク市、400周年&米建国250年で誘客強化、「歓迎の精神不変」
インバウンド市場の現在地
ニューヨーク市を訪れる旅行者の数は、2024年に国内・海外合わせて6450万人となり、2019年比で3.2%減にまで迫った。ただし国内旅行者が2.8%減の5160万人まで回復しているのに対し海外からの旅行者は4.4%減の1290万人で、さらに2025年には1230万人へと減少に転じる見通しだ。
これについてニューヨーク市観光会議局は、関税などの要因によるビジネス需要への影響が大きいと分析。2025年のビジネス需要は2019年比8.1%減の1250万人に留まる見通しで、カナダや英国など西欧各国が特に影響を受けているという。
一方、日本については緩やかな回復が続くと見ており、コロナ禍の2021年に2500人まで落ちたところから2024年には22万2000人に戻し、2025年は23万3000人の予想。コーカー氏によると「日本は1人あたりの平均消費額が全市場平均の1800ドルを上回る2500ドルと高い」ほか、他市場に比べてビジネス目的の割合が多く、年齢層、所得ともに高い傾向にある。また、最近のトレンドとして一人旅や“ブレジャー”の増加、富裕層向け旅行体験への関心の高まりも確認されているという。
2026年を「一生に一度」の好機に
2026年のマーケティング活動は、2025年がニューヨーク市における市政の始まりから400周年、そして2026年には米国の建国250周年の節目であることを祝した「Founded by NYC」キャンペーンをひとつの軸として展開。歴史の舞台として時を重ね、現在も発展を続けるニューヨーク市の歴史と活気に焦点を当てており、市と住民が育んできた創造性やしなやかさ(レジリエンス)、そしてマイノリティのコミュニティによる貢献を強調して取り上げる。
キャンペーンでは専用ドメイン「FoundedByNYC.com」も取得し、テーマに沿った観光素材やイベント、没入型のツアーなどのアクティビティを紹介している。目玉イベントのひとつは、7月3日から9日にかけてニューヨークの港に世界30ヶ国超から大型帆船や軍艦で1万5000人以上の船員たちが集まる過去最大規模の祭典「Sail 4th 250」という。
また、同時期の6月11日から7月19日にかけて開催されるサッカーワールドカップも最大限誘客に繋げる考えで、400周年/250周年と合わせて一生に一度の体験ができる好機として打ち出す。ニューヨーク/ニュージャージー会場では決勝戦を含む8試合が予定されており、すでに観光会議局としてもグローバルで「Where the World Comes to Play」キャンペーンを開始。スポーツファンだけでなく好奇心旺盛な旅行者や文化好きな旅行者をコアターゲットとしたもので、日本でも展開に向けて準備中。詳細は2026年の早い段階で発表する。

