「変化の時代を、業界とともに前へ」-インフィニ高橋社長が語る連携と進化

  • 2025年5月20日

 コロナ禍を経て再起動した旅行業界。インバウンドの回復が進む一方で、アウトバウンドの再活性化はいまだ大きな課題となっている。日本市場に特化したGDSとして、全国の旅行会社を支えるのがインフィニ トラベル インフォメーションだ。2024年に社長に就任した高橋誠一氏は、「Being Together」の理念のもと、業界とともに前を向いて進む姿勢を大切にしている。今回は、高橋氏のこれまでの歩みと、同社の取り組み、そして変化する時代への向き合い方を伺った。



-まずご自身のご紹介をお願いいたします。

高橋 誠一 氏(以下敬称略) 私は長年ANAに勤務し、空港オペレーションや海外空港拠点の立ち上げ、ANAセールスでの旅行事業など、航空・旅行業界のさまざまな分野に携わってきました。3年前にANAを退任し、その後2年間は羽田空港を運営する日本空港ビルデングに在籍。コロナ禍からの回復期に、空っぽだった空港に徐々にお客様が戻ってくる様子を間近で見ることができたことは、非常に貴重で印象的な体験でした。

 2024年4月より、インフィニ トラベル インフォメーションの代表取締役社長に就任しました。前職では、空港でお客様を「お迎えする」立場が中心でしたが、現在は旅行会社の皆様と連携し、「送り出す」立場として旅の出発を支える側に立っています。航空業界と旅行業界、両方の視点を生かして貢献していきたいと思っています。

 出身は埼玉県深谷市で、近代日本資本主義の父・渋沢栄一の生まれ故郷でもあります。渋沢氏は500近い企業の設立に関わったと言われており、その挑戦心や社会に対するビジョンには学ぶべきところが多いと感じています。

-現在のINFINI導入旅行会社ボリュームや中小旅行会社への浸透度についてお聞かせください。

高橋 当社はGDSとして、日本国内で35年にわたりサービスを提供してきました。その蓄積の中で、現在では日本全国で最も多くの旅行会社と契約しており、大手から中小まで、幅広い取引先とお付き合いがあります。特定地域に偏ることなく、地方の旅行会社とも密接に連携しており、これが私たちの強みのひとつです。

 当社は、リアルな訪問営業を重視しています。電話やチャット、ウェブフォームによるコミュニケーションも活用していますが、直接足を運び、現場でお話を伺うことで初めて見えてくる課題やニーズがあります。そのため、名古屋・大阪・福岡にある支店の担当者が地域を回るほか、東京からも北海道や東北、北陸などに定期的に訪問しています。

 コロナ明けには「みんなでセールス」と題し、営業担当だけでなく全社員が訪問活動に参加しました。現場から得られるフィードバックは、プロダクトの改善やサービスの最適化に直結します。訪問を通じて、お客様の悩みに対する具体的な解決策をその場でご提案できることも、私たちが大切にしている価値です。

 さらに、端末導入が難しいリテーラーに対しては、ホールセラーと連携し、B2Bサイト「INFINI B-Assist」を提供しています。これにより、24時間365日、航空券予約が可能な環境を実現し、間接的にINFINIの機能をご活用いただくケースも増えています。

-現在の組織規模はどのくらいでしょうか。

高橋 社員数は約120名。うち約3割が開発部門で、システム開発・改善に注力しています。残りの7割は営業、オペレーション、管理部門といった顧客対応・支援体制を支えるメンバーで構成されています。このバランスが、ユーザーの声を迅速に反映し、開発と運用をスムーズに結びつける組織基盤となっています。