福岡型サスティナブルツーリズム
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70周年迎えるKNT-CTHD、訪日拡大と地域共創事業を本格始動 小山社長が方針語る

  • 2025年3月3日

 KNT-CTホールディングスは、本年9月1日に創立70周年を迎える。1955年に近畿日本ツーリストとして創業し、2013年にはクラブツーリズムとの経営統合を経て、現在では国内外に21社を擁するグループへと発展した。長年にわたる顧客や関係者の支援に感謝の意を込め、同社は3月3日より公式サイト内に「70周年記念サイト」を開設し、記念企画を展開していく。

 記念サイトでは、創業から現在までの歴史を振り返るコンテンツに加え、近畿日本ツーリストとクラブツーリズムが手掛ける特別ツアーやキャンペーン情報を発信。さらに、グループパーパス「まだ見ぬところへ、まだ見ぬ明日へ」に基づいた3つのキーコンセプトを反映した70周年記念ロゴも発表された。

 記念企画として、クラブツーリズムは「70周年記念ツアー」を多数企画。北海道の厳選7ホテルを巡る夫婦限定ツアーや、海鮮グルメを楽しむミステリーツアー、春の静岡で桜の名所を巡るツアーなど、多彩なプランが用意されている。近畿日本ツーリストでは、バリアフリー旅行の推進を目的とした「バリアフリービーチプロジェクト」をハワイで実施し、障がいのある旅行者も海水浴を楽しめる環境づくりに取り組む。

"グローバルネットワークの再構築"と"地域共創事業"強化へ着々

小山佳延代表取締役社長

 先月28日には、昨年5月に見直しを図った中期経営計画に関して、代表取締役社長の小山佳延氏がメディア向けに進捗を発表した。

 経営計画の中では、近畿日本ツーリストとクラブツーリズムが一体となり、地域共創事業および訪日事業の拡大に注力すると示していた。小山氏によると、海外19都市に設けている事業拠点は、これまで主に日本からの旅行者の「受け手」の役割を果たしていたものの、今後は日本への旅行者の「送り手」となるべく役割を転換する。具体的には、グローバルMICE営業や訪日旅行商品の販路開拓、国際交流事業の協業先開拓、国内観光地のPR業務などを強化する考え。

 創立70周年を迎える2025年度に、欧州、米国、豪州でこの取り組みを開始し、さらに、ロサンゼルス、シドニー、アムステルダム、パリに訪日人材によって運営する新拠点を設置する予定だ。また、2026年度以降には、東南アジアや中東などカバーできていない地域へも積極的に拠点を構えるという。

 一方、地域共創事業では現在、中部山岳国立公園エリアを舞台にモデル作りを進めている。魅力発掘や情報発信拠点の整備に取り組んでおり、今後は地域固有の素材を生かした着型旅行商品の造成や国内外への情報発信を展開する予定だ。

 小山氏は同事業が目指す方向性について、「OTAのようなプラットフォーマーではなく、地域の方々とともに汗をかきながら、観光に留まらず、一次産業をはじめ様々な地域課題を解決する"サービス総合商社"へと進化させること」と強調。その上で、幅広い趣味嗜好の会員顧客を有する集客力や、これまで自治体とともに独自イベントを展開してきた実行力、実績が他社にはない強みと発信した。

 今後は、グローバルネットワークの再構築を通じた訪日誘客と日本国内での着型観光を促進する地域共創事業によるシナジーの創出を図る方針で、小山氏は「当社独自のDMCモデルを作り、日本各地へと横展開していくことを目指すべき姿として挑戦していく」と語った。