1月訪日者数が昨対141% 中国マレーシア大幅伸長、HIS不適正受給「非常に残念」-秡川観光庁長官会見

観光庁の秡川直也長官は19日、定例会見を開き、1月の訪日者数などについて報告を行った。それによると、1月の訪日外国人数は単月過去最高の378万1200人(前年同月比140.6%)、出国日本人数は91万2300人(同108.8%)だった。
昨年10月以降の訪日旅行者数が19年比130%以上と好調に推移していたことから、年明けの動向に「期待と不安が両方あった」と話した秡川長官は、更なる伸びを見せた訪日市場について「国際航空便の回復」と、連休の開始が1月に重なった「春節」が好調の要因と分析。中国、マレーシアからの訪日者数はそれぞれ、前年同月比235.6%、233.8%と大幅に増加した。
月 | 訪日外国人数 | 出国日本人数 | ||||
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2024年 | 2025年 | 前年比 | 2024年 | 2025年 | 前年比 | |
1月 | 2,688,478 | 3,781,200 | 140.6% | 838,581 | 912,300 | 108.8% |
2月 | 2,788,224 | 978,884 | ||||
3月 | 3,081,781 | 1,219,789 | ||||
4月 | 3,043,003 | 888,767 | ||||
5月 | 3,040,294 | 941,709 | ||||
6月 | 3,140,642 | 930,229 | ||||
7月 | 3,292,602 | 1,048,823 | ||||
8月 | 2,933,381 | 1,437,126 | ||||
9月 | 2,872,487 | 1,212,545 | ||||
10月 | 3,312,193 | 1,148,502 | ||||
11月 | 3,187,175 | 1,175,117 | ||||
12月 | 3,489,800 | 1,187,207 | ||||
1~1月 | 2,688,478 | 3,781,200 | 140.6% | 838,581 | 912,300 | 108.8% |
1~12月 | 36,870,100 | 13,007,279 |
春節の動向について、中国現地の旅行会社に行った聞き取り調査によると、春節期間の日本の旅行商品の売上は、昨年に比べ全体的に好調に推移した。中でも、主要都市圏観光に一部地方都市を周遊するプランが人気を集め、温泉など日本特有のコンテンツを含む商品が好調だったという。
一方、一部地域では混雑やマナー違反といったオーバーツーリズムが発生しており、一時的な警備強化や規制など地域毎で取り組みが進められた。秡川長官は「観光も楽しんでいただきたいが、地域住民の生活も大事」とオーバーツーリズムへ懸念を示すとともに、観光庁として引き続き対策へ支援を行う意向を示した。
また、観光地域づくりにおいてはDMOの働きにも期待が掛かるところ。秡川長官は「観光振興及びオーバーツーリズム対策も、DMOが中心として大きな役割を果たしていただきたい」と期待感を示しており、住民を含め観光に関わる地域のあらゆる関係者を巻きこんで戦略を立てていただきたい、と話した。
HISによる雇調金不適正受給「非常に残念」
先月27日、旅行大手HISがコロナ禍の雇用調整助成金の不適正受給及び、子会社の不正受給を巡り助成金の一部返還を発表。観光庁では以前より、業界団体らに対しコンプライアンス順守の徹底を指導してきたが、今回の報道を受け秡川長官は「非常に残念」とコメントするとともに、同社に対し再度指導を行ったことを明かした。
一方、観光庁を巡っては、コロナ禍に実施された全国旅行支援や県民割支援の予算算定根拠に関する資料が保存されていなかったとして、先月29日に会計検査院から指摘を受けた。これに対し秡川長官は、「能登において今後旅行支援が行われる可能性もある。同じことは二度と起こらないように活かしていきたい」と話した。