アウトバウンド5年ぶり1000万人突破、観光促進も「G7が率先して取り組む」-祓川観光庁長官会見
観光庁長官の秡川直也氏は20日に会見を開き、10月の訪日及び海外旅行者数の状況や今月実施されたG7観光大臣会合での取り組みなどについて報告を行った。
足元では、10月の訪日外国人数は331万2000人を記録し、単月過去最高を更新。今年1月からの累計では3019万2600人となり、過去最速で3000万人を突破した。
国・地域別の訪日者数について、祓川氏は19年10月と比較し60%増を記録している「欧米の伸びが顕著」との見解を示し、インバウンドの状況は「順調」と述べた。
年間の累計では、豪州、メキシコ、ドイツ、イタリア、中東地域、台湾、フィリピン、インド、米国、カナダ、スペインの11市場が既に過去最高となっている状況だ。
月 | 訪日外国人数 | 出国日本人数 | ||||
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2019年 | 2024年 | 対19年 | 2019年 | 2024年 | 対19年 | |
1月 | 2,689,339 | 2,688,478 | 100.0% | 1,452,157 | 838,581 | 57.7% |
2月 | 2,604,322 | 2,788,224 | 107.1% | 1,534,792 | 978,884 | 63.8% |
3月 | 2,760,136 | 3,081,781 | 111.7% | 1,929,915 | 1,219,789 | 63.2% |
4月 | 2,926,685 | 3,043,003 | 104.0% | 1,666,546 | 888,767 | 53.3% |
5月 | 2,773,091 | 3,040,294 | 109.6% | 1,437,929 | 941,709 | 65.5% |
6月 | 2,880,041 | 3,140,642 | 109.0% | 1,520,993 | 930,229 | 61.2% |
7月 | 2,991,189 | 3,292,602 | 110.1% | 1,659,166 | 1,048,823 | 63.2% |
8月 | 2,520,134 | 2,933,381 | 116.4% | 2,109,568 | 1,437,126 | 68.1% |
9月 | 2,272,883 | 2,872,200 | 126.4% | 1,751,477 | 1,212,566 | 69.2% |
10月 | 2,496,568 | 3,312,000 | 132.7% | 1,663,474 | 1,148,400 | 69.0% |
11月 | 2,441,274 | 1,642,333 | ||||
12月 | 2,526,387 | 1,712,319 | ||||
1~10月 | 26,914,388 | 30,192,600 | 112.2% | 16,726,017 | 10,644,900 | 63.6% |
1~12月 | 31,882,049 | 20,080,669 |
一方、10月の出国日本人数は114万8400人。2019年同月比では約7割には留まるが、5年ぶりに年間累計1000万人を突破した。
祓川氏は、アウトバウンドでは引き続き「為替」が一番の課題としつつも、航空ネットワークの維持や相互理解など安定的な国際関係構築を背景に、アウトバウンドの重要性も示しており、「(コントロール)できることはしっかりやっていきたい」と発信。具体例として、海外への修学旅行の促進を文科省などに働きかけているという。
初開催となった「G7観光大臣会合」
11月13日から15日に掛けて、G7観光大臣会合に出席した祓川氏。G7の枠組みとして観光大臣会合が行われたのは初のことで、祓川氏によると「観光の面でも、G7が率先して共同で取り組んでいく」方針が確認され来年以降も同会合は継続される予定だという。
会合では、今回議長国を務めたイタリアが設定した「持続可能な観光」「観光におけるAIの活用」「人的資本の確保」をテーマに議論。結果として、持続可能な観光の部分では、観光の恩恵が地方部の住人や中小・零細企業などバリューチェーン全体に行き渡るよう努力することや、観光経済のレジリエンスを強化していくこと。AIを含むデジタル技術は、そのリスクも考慮しつつイノベーションや生産性向上を目的に活用を促進していくこと。人的資本では、労働条件の改善やリスキリングなどのスキルアップに取り組んでいくことが、コミュニケとして採択された。
また、今回の会合の地となったのがフィレンツェの歴史的な宮殿だったことから、「ユニークべニューの活用といった面でも非常に勉強になった(祓川氏)」とコメントを残している。