WTS、ホールセール事業を軸にB2C領域へ 新社長に聞く楽天グループの強みも活かした展開
楽天グループの連結子会社で、ホールセラーのワールドトラベルシステム(WTS)は、今年1月に会長と社長が同時に交代し組織体制が大きく変化した。コロナ禍には月額サービスを始めるなど新たな試みを展開してきた同社では、ホールセールをベースとした新たな事業展開を模索している。楽天グループへの参画からは9年が経過した中で、グループとしての強みも活かした今後の戦略や異例とも言える人事の狙いはなにか。新社長に就任した永冨文彦氏に話を聞いた。
永冨文彦氏(以下敬称略) 楽天グループへの入社は2010年。その前はランドオペレーターに約9年在籍しており、B2B事業にも関わっていた。楽天入社後は京阪神エリアで長らく宿泊施設に対する仕入れ営業とオンライン販売に関するコンサルティングを行っており、2016年に本社へ異動。2017年からは同じ仕入れ営業とコンサルティングの責任者として、国内の宿泊業界の発展に取り組んできた。
今年1月1日からはWTSの社長に就任し、同日付で会長に就任した安田とともにマネジメント及び営業にも従事している。
永冨 今回の人事は、業績及び人のマネジメントの部分を期待されてのものと認識しており、大きく方向性を変えるつもりはない。現在もホールセール事業がベースとなっており、内在している価値をどう掘り起こすか、ベースの事業に対してどう付加価値を付けるかがポイントだと考えている。
その中で今後は手配旅行に力を入れていく。ホールセール事業で得た「仕入れ力」や柔軟な「手配力」といった強みを生かせるとともに、BTMやMICE、団体旅行などは楽天グループの各事業や各事業で関わっている企業様にもサービスを提供できるためポテンシャルが高い。
実際に、楽天グループでは楽天市場や楽天トラベルに参画するサプライヤーの中で、年間で顕著な実績を挙げた方々を海外研修旅行に招待しているが、この手配はずっと当社が担当している。都度100人以上、計10年以上手配を続けており、この実績・経験は当社として強みの一つ。また、楽天グループ以外では、留学生の航空券手配にも2018年から取り組んでおり、累計5000人以上の手配を行ってきた。いずれも柔軟な対応が求められるが、ホールセール事業の仕入れ力があるからこそ航空会社と状況に応じて相談をすることができ、それが結果として手配旅行のお客様の信頼につながっていくと考えている。
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