世界観光大臣会合、革新的な旅行や若者のエンパワーメントに期待
ツーリズムEXPOジャパンの目玉企画の一つ第7回観光大臣会合が初日の9月26日午後に開かれ、ブルネイ、ブルガリア、ギリシャ、モンテネグロ、フィリピンの観光大臣らと観光関連国際機関からの参加者が「新たな旅の創造」をテーマに意見を交わした。
司会者の「課題は観光産業の変革です。マスツーリズムの枠を超えた持続可能な観光、女性、若者のエンパワーメント(力を与えること)も必要です。そのことに実践的、具体的な活動をしましょう。観光はSDGsの17の目標すべてに貢献できるユニークな分野です。議論を深め、明日9月27日の世界観光デーを皆さんと一緒に祝いたいと思います」との呼びかけに、出席者が各国や機関での取り組みを紹介することで応えた。
フィリピンのクリスティーナ・ガルシア・フラスコ観光大臣は、旅行先で滞在しフィリピンの心に入り込む「エクスぺリエンス・プログラム」を紹介した。
「これはツーリズム以上のものです。現地の家族と暮らすことによる文化的没入、職人に学ぶ伝統工芸、サンゴの植樹や野生動物の保護を体験するエコアドベンチャー、さらに訪問先への恩返しとして、英語を教えるなどのコミュニティープロジェクトも含まれます」
また、若者のエンパワーメントについても「若い人には地域にダメージを与えないゼロ・ウェイストトラベラーになってもらいたい。その場所が来た時より美しくなるような、革新的な旅行の仕方を若い人に身につけてもらいたい。訪れた場所にまったくインパクトを残さないのが、強いインパクトの旅行なのですから」と期待した。
モンテネグロのシモニダ・コルディック観光大臣と、世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)のアリズ・オルティゲラ氏も若い人のエンパワーメントについて意見を述べた。
モンテネグロのコルディック観光大臣は「若い人を観光に関与させることで、観光を使って文化を維持したり、地元経済に貢献することができます。ただ、若い人を観光に従事させるのは計画的でなければいけません。ソーシャルメディアやプラットフォームで、観光がどのようにSDGsを実現できるかを知ってもらい、観光に従事する目的を持てることが大事です。我々の義務は産業を発展させるだけでなく、観光により平和と安定を促進することです。そのためにも若い人が親善大使になる必要があります」と述べた。
WTTCのオルティゲラ氏は、若い人に観光業界の姿を提示しようと訴えた。
「若い人には旅行者として、そして人材としての教育が必要です。ヨーロッパには飛び恥という言葉があります。若い人は観光の環境への影響に懸念を持っています。ですが旅行というリアルワールドでの経験で観光産業をけん引することができます。観光産業はアナログではなく、技術満載の業界であることを若い人に伝えましょう。業界に入れば、イノベーターとして新しい旅行を提供できる。観光の未来をつくることができる。観光は狭い分野ではなくメガ・セクターです。観光業界には様々な機会があるんです。我々は若い人にとって、もっと素晴らしい環境を作りましょう」
情報提供:トラベルニュース社