バルト海の真珠・グダンスク(ポーランド)-中世ハンザ同盟の栄華が今も残る歴史の街を歩く旅[PR]

 ポーランド北部にある港湾都市、グダンスク(グダニスクとも)。14世紀にハンザ同盟都市として発展し、第二次世界大戦が開戦した地としても知られる古都だ。さまざまな時代の建物が並ぶカラフルな旧市街を訪れ、モトワヴァ運河を行き交う船を眺めながら一休み。そんなゆっくりとした休日が過ごせる港町はヨーロッパの人気観光都市の一つとなっている。今回はそんなグダンスクと、エクスカーション先におすすめの世界遺産・マルボルク城を紹介する。

激動の歴史の舞台となったグダンスク



オレンジ色の屋根にカラフルな壁が美しい

 グダンスクは10世紀ころ成立した港湾都市で、ハンザ同盟の貿易都市として発展していった。ポーランド人に加え、ドイツ人やオランダ人、ユダヤ人、少数民族のカシューブ人などが共生していたこともある国際都市で、第一次世界大戦後はどの国にも属さない「自由都市ダンツィヒ」になっている。

 第二次世界大戦のきっかけであるポーランド侵攻の舞台となったグダンスクは激戦の舞台となり、都市は壊滅的な被害を受けた。戦後はポーランドに帰属し、当時の資料をもとに16世紀から17世紀の街を忠実に再現するかたちで都市が再建され、ゴシック、ルネサンス、バロック時代の建物が混在する魅力的な街並みを取り戻した。


運河沿いの美しい夜景も見どころのひとつ

 1980年代後半にはグダンスク造船所で、レフ・ワレサ主導のもと民主化運動の先駆けとなった独立自主管理労働組合「連帯(ソリダルノシチ)」が結成。東ヨーロッパの民主化運動の先駆けとなった。そうした文化的価値が認められ、2005年には「グダンスク-記憶と自由の街」として世界遺産の暫定リストにも登録されている。


グダンスク造船所。内部はミュージアムになっている

 グダンスクは見どころがコンパクトに集まっており、旧市街を中心に徒歩圏内のスポットが多いので回りやすいのが特徴だ。国際空港から市内までは車で約30分、ワルシャワから列車で約2時間半とアクセスも良いので、ポーランド周遊旅行の訪問先のひとつとしてぜひ組み込みたい。



旧市街のメインスポット・ドゥーガ通り


ドゥーガ通りは多くの人が訪れる旧市街のハイライトだ

 観光のスタートは旧市街から。グダンスク中央駅からのんびり歩いて10分、旧市街のメインストリート「ドゥーガ通り」に到着する。かつては国王のパレードが行われた「王の道」だが、実は長さ500mにわたる街路型の「広場」という珍しい構造をしている。

 入り口となる「ブラマ・ヴィジンナ(高い門)」をくぐって進むと、オランダ・マニエリスム様式の凱旋門「黄金の門」が出迎えてくれる。進むと時計台を持つゴシック・ルネサンス様式の旧市庁舎(現在はグダンスク歴史博物館)が見えてくる。


旧市庁舎の時計台は高さ82m。展望台になっている

 さらに、かつてギルド本部があった白亜の「アルトゥール館」、17世紀に建設された幽霊伝説の残る「黄金の家」、ロココ様式の「ウプハーゲン邸」など、さまざまな建物が並んでおり、歩いているだけで楽しい。グダンスクのシンボル的存在の「ネプチューンの噴水」があるのもドゥーガ通りだ。


アルトゥール館の美しいインテリアは見ごたえがある

 少し横道にそれると美しい装飾がされた城壁のような建物が見えてくる。これはオランダ・マニエリスム様式の建築として知られる「大武器庫」で古代の神殿のようなドーム型の屋根が特徴的だ。

細やかな装飾が美しい大武器庫

 旧市庁舎の裏手にあるのがゴシック建築の「聖母マリア教会」。150年にわたって建築されたヨーロッパ最大級のレンガ造りの教会で、石造りのピエタや天文時計、バロック様式のパイプオルガンなどの見どころがある。

 ドゥーガ通りの終点・緑の門を抜けるとそこはモトワヴァ運河。運河沿いにはカラフルな建物が並びおしゃれなカフェやレストランが点在しているので、運河を行き交う船を眺めながらのんびり一息つくのがおすすめ。港町・グダンスクならではのシーフードを楽しもう。


モトワヴァ運河沿いには「ジュラフ」と呼ばれる木造クレーンの姿も。なかは対岸にある海洋中央博物館のコレクションの一部が展示されている

 このほか、ドゥーガ通りは毎年夏に3週間、「聖ドミニコ市」が開催される場所としても有名だ。2025年で765周年を迎える歴史あるイベントで、1000以上の屋台でのショッピング、蚤の市、中世の衣装を身にまとった人々のパレード等が楽しめる。『フォーブス』の「10 Of Europe’s Coolest Events In 2024」に選ばれたヨーロッパで名高いイベントなので、夏のツアーにぜひ組み込みたい。


「聖ドミニコ市」は毎年50万人以上が訪れる人気イベント