訪日客呼び込むマーケ戦略、宿泊施設のクラファン活用事例とは?micadoがホテルマーケティングウェビナー開催

 同イベントのDAY2にはクラウドファンディングサービスを手掛けるマクアケの永岡佑介氏が、宿泊施設における同社サービスの活用の現状について紹介。

 主な活用例は「施設OPEN時のスタートダッシュ」「OPEN後のPR・直販率UP」の2点。活用する利点は、OPEN時の場合工事中のタイミングから集客とPRができること。また、直販率の向上のためには通常、認知→購入→リピートの循環を生み出す必要があるが、Makuakeユーザーは事業背景などのストーリーに共感する傾向が強いことからファンづくりの土壌ができており、認知からリピートまで全てを一気通貫して行える利点がある。また、永岡氏によると宿泊施設の中でも同社サービスとの相性が良いのは、シティホテルよりリゾートホテルや一棟貸しのヴィラなどが向いているという。

 永岡氏は同社サービスについて「これまで資金調達や寄付の側面が強かったが、年々マーケティングのチャネルとしてクラウドファンディングを活用するケースが増えている」と語っており、宿泊施設においても「いろんなタッチポイントを模索して活用していく」ことが重要と発信した。

既存顧客へのアプローチ
会員・ポイント制度で囲い込みを

 多くの事業者から新規顧客へのリーチに関するヒントが語られるなか、データマーケティングシステム「b→dash」手掛けるデータXの江波戸水紀氏と、宿泊施設向け予約エンジンなどを展開するtriplaの岩田尚史氏は既存顧客へのアプローチの重要性を示した。

 まず江波戸氏は「1:5:25の法則」に触れ「新規顧客にアプローチするよりも、既存顧客へアプローチする方が25倍コスト効率がよい」として、既存顧客を呼び戻しリピートさせることが重要で、その手法としてMAツールの活用が宿泊施設でも注目を集めているとのトレンドを紹介。

 一方で、日本交通公社による宿泊施設への調査では自社施設のリピーターの比率について21.2%が「わからない」22.2%が「10%未満」と回答しており、リピーター育成に関する理解はあまり進んでいないのが現状だ。加えて集客経路はOTAや旅行会社が全体の約7割を占めており、岩田氏は直販以外の集客経路では得られる予約者の情報が少なくリピートへ繋げるための各種施策ができないとの問題を指摘した。

 岩田氏はリピーター育成のメリットとして江波戸氏が挙げたコスト効率のほか、口コミなどでのポジティブな発信を期待できたり、期待値の高さから繰り返し利用するにつれ単価が高くなる傾向があると語っており、その上で同氏が有効な施策として挙げたのが「会員制度」と「ポイント制度」だ。

 同社による調査では、会員制度の有無で予約率に3.4倍の差があり、ポイント制度も掛け合わせた場合、制度の有無でリピーター率は1.5倍の差が生まれたという。

 また「会員制度」は旅アトにもフォローできることから、OTAなど直販以外からの宿泊客をリピートへ繋げるためにも有効で、夕食時のワンドリンクサービスなどの特典を用意することで滞在中に会員登録を促すことが可能となる。

 一方で「国内OTAではポイント統一での経済圏が形成されており施設独自のポイント制度では対抗が難しいのでは」との問いに対して、triplaの場合は「デジコ」との連携により宿泊予約で貯めたポイントを、Amazon、App Store & iTunes、Google Playなどで使用できるデジタルギフトへ等価交換で利用することができるため、岩田氏は「等価交換できるという点を館内で訴求することができれば、OTA経由の宿泊客も十分直販へ誘導できる」と強調した。