訪日客呼び込むマーケ戦略、宿泊施設のクラファン活用事例とは?micadoがホテルマーケティングウェビナー開催

 宿泊施設に特化した総合マーケティングを手掛けるmicadoは5月21日~22日、「Hotel Marketing Conference 〜ホテルマーケティングのレベルを底上げする2日間〜」と題したオンラインイベントを開催。オープニングセッションに登壇したmicado代表取締役の田代貴彦氏は、宿泊施設における価値の本質を"その施設が、旅行者にとってなくなってはいけない理由"と定義しており、「その価値を理解し、言語化・ビジュアル化し、伝わるように発信できている施設はあまり多くない」と指摘。

 また、同氏はマーケターが集客すべき理由を「施設で体験できる価値をより多くの人に届けるため」とした上で、集客を行う際は「誰に」「どのような価値」を提供すべきかが重要と話した。同イベントでは、宿泊施設向けサービスを手掛ける複数の事業者が登壇し、ターゲット毎のチャネル活用など宿泊施設におけるマーケティング戦略に係る多くのヒントが発信された。

 訪日旅行者を呼び込むためのインバウンド戦略をテーマに登壇した元亜欧堂の堀口洋明氏は、マーケティングの第一歩は「お客様を正確に知ること」で、印象ではなくデータで確認する重要性を示した。インバウンドにおける例では、JNTO「日本の観光統計データ」から、国別の訪日外国人旅行者数や国別・月別での旅行者数、都道府県・国別の訪日旅行者統計、国別旅行者の平均宿泊数などの情報を確認し、それに対する自施設との比較が有効で「分析を通して仮説の材料を探し、仮説をもとにマーケティング戦略の作成実行を行う。うまくいくかどうかをレベニューマネジメントの毎日のブッキングベースやフォーキャストで確認し、仮説とずれる場合は戦略を練り直す」といったサイクルを丁寧に繰り返すことが大切であると強調した。

 質疑応答にて「国内ゲストのみならず訪日ゲストの直販比率をあげるには?」との問いに関して、堀口氏によると直販比率の高い施設の傾向は「施設自体が旅の目的地となれる」「ロイヤリティプログラムにより多くの会員を抱えている」の2点に限られ、1点目の例ではエスコンフィールド北海道に位置する「tower eleven hotel」では試合日の直販比率が100%を記録することもあるという。

 続いて「戦略的に訪日客を囲い込むには?」との問いには、マーケティングミックスでの考え方が基本と示し、その中でも注目は「Product」と「Place」。客室やサービスが訪日客向けになっていることや、海外に強いチャネルを利用することのほか、ターゲットとする国やシーズン毎のリードタイムの傾向を分析し早割を活用するといった具体例が挙げられた。

 チャネル視点では、GMO TECHの布村優太氏が「Googleをフル活用したホテル集客の成功法則」をテーマに登壇。同氏は携帯・スマホの普及、SNSやAIなど宿泊施設を見つけるためのチャネルは多様化しているものの、買い物時の情報収集手段の利用時間シェアでは未だ「検索」が6割を記録しており、検索ユーザーへ効果的にアプローチできるかが肝と説いた。

 同社では、Google Mapを集客チャネルとして活用するための支援を行っているが、一部宿泊施設ではGoogle Mapからの予約件数が2.5倍に増えており、宿泊施設においてもGoogle Mapの活用が有効となる。

 また、観光庁による訪日外国人を対象とした「出発前に得た旅行情報源で役に立ったもの」の調査では、SNSや個人ブログに次いで口コミサイトの割合が15%を超えており、Google Mapの普及率、口コミや自動翻訳機能を備えることから「訪日向けにも非常に効果的」と強調した。

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