TIFS会員インタビューVol.8 アジア・インタラクション・サポート 青木 達夫 氏

  • 2024年4月25日
  • 出典:一般社団法人新観光創造連合会(TIFS)
-それぞれの事業について具体的にお聞かせください。

青木 まず、タイ・台湾・中国からのインバウンド集客のサポートが一番核となる事業です。インバウンドを集客したい地域や観光協会、企業の誘客活動をサポートするものです。そのために弊社自ら訴求力の高い訪日旅行情報サイトを運営してしており、クライアントの情報発信を支援しています。タイ向けには「Chill Chill JAPAN」、台湾・中国向けには「歩歩日本」というメディアです。特にタイからのインバウンドサポートにおいては高水準の総合的ソリューションとトップレベルの訪日タイ人の利用度を誇るメディアを運営する優位性から、最も頼りになるパートナーと言っていただけるようになりました。

 主要国対象のプロモーションについては総合的に引き受けられる体制も構築しております。もちろん直接提供もしていますが、全国のインバウンドを扱う広告代理店や旅行会社、OTAに提供して各地方や企業にも提供されています。

 宿泊施設については、京都にて「京町家 楽遊」という旅館を運営しています。2016年にオープンし、別邸も含めて計11部屋という規模ですが、宿泊されるお客様のほとんどがFITのインバウンド旅行客なので、リアルな情報収集の場としても使っています。ランドオペレーターをしていた時に一番苦労したのが東京と京都の宿を押さえることでした。市場が加熱することは容易に想定できましたし、プロパティを持ってしまった方が、やりたい事を試しながら収益化できると思い、開業にいたりました。

 2023年時点で稼働率90%を超え、今年も順調です。客室単価もかなり上がってきています。全従業員の大幅報酬アップも実施することができました。今後新たな施設も展開するかどうかは人材次第というところです。何かを生み出すことやちょっとした工夫を惜しみなくでき、想いもあり人も巻き込めるような人と出会えれば、京都に限らず土地探しから一緒にしてみたいと思っています。

-今後の事業展開、目標をお聞かせください。

青木 日本におけるインバウンドの質を高めて、世界一の観光立国を作ることを目指し、その一翼を担いたいと思っています。弊社の事業をやっていて何が良い点なのか従業員とも深く話した結果、意見が一致したのは、”「ありがとう」と言われること”。例えば、愛知県蒲郡市の案件でインフルエンサーを手配してプロモーションをした際に、魚市場でタカアシガニを食べてPRをしたら、すぐにタイ人のお客さんがたくさん訪れるようになったようです。市役所から依頼を受けた仕事でしたが、市場のおばちゃんが「売上が上がっているよ、ありがとう」という嬉しい声を市役所に伝えてくれて、それが弊社にも届きました。

 同じように、「京町家 楽遊」でも、宿泊者が利用することから近くの銭湯にいつも御礼を言っていただいていますし、近所の住人であるおばちゃんからも「変な事業者じゃなくてお宅でよかった」と言ってくれています。「ありがとう」の連鎖を極大化させるようなことをしていきたいです。そのためには、顧客満足、当社利益、従業員満足が必要なため、インバウンドソリューション企業で最も高待遇な企業になりたいと考えています。

 インバウンドサポートは、独自ソリューションとそれを支える独自ノウハウに拘りたいと思っています。そのためには、様々な技術に対応し続ける必要がありますし、自社メディアの強化・展開も必要です。仮に、近所の銭湯のおばちゃんにもっとインバウンドのお客さんを送ってほしいと言われたら、やります。予算に合わせて、敢えて自分たちの商品を売ることもありません。「京町家 楽遊」もトリップアドバイザーのトラベラーズチョイスで日本の旅館部門2位を獲ったように、口コミを良くするというKPIを立てて、きちんと結果を出しているので、ノウハウはそこそこ持っています。国によって旅行者の志向や行動は随分変わりますが、同時に共通点も多いです。私達は旅行者それぞれの志向や行動に寄り添いつつ、役立ち、満足度を上げることに貢献したく、またクライアントに対しても相手に合わせた施策で役に立てればと考えます。