地方誘客促進へ「地域観光新発見事業」の公募迫る、事業担当者が語る本事業の狙いは?
2つの類型に応じた補助
今回の事業では、国内観光客向けの観光コンテンツも対象となるほか、「新創出型」と「販売型」の2つの類型に応じ補助要件が設けられた。
「新創出型」は、観光への取り組みが十分ではない地域において、造成から販売に至るまで観光で新事業のスタートアップを行う観光事業者を想定する。「販売型」は、既に観光コンテンツ造成などの実績があるほか一定の受け入れ態勢があるなかで、十分な誘客や収益化ができていないステップアップを図る観光事業者を想定する。
「販売型」設置の経緯として、豊重氏は「地域で今後自走できるよう販売部分を強化した」と説明。
補助額は両類型共通で定額400万円。400万円を超える部分については補助額2分の1となり、上限は1250万円。また、最低事業費は600万円で、収益納付は求めない。
経費割合の制限として、「新創出型」は事業費の50%以上を「観光コンテンツ造成費」とする一方で、「販売型」は経費割合の制限はなく、実施主体の人件費や旅費も「観光コンテンツ造成費」の対象とするなど販売に特化できるよう自由度の高い設計となっている。豊重氏によると、この制限緩和については、事務局と事業主体間でのやりとりの煩雑さを考慮する面もあるようで、「手続き面での負担を軽減したい」狙いがある。
審査では、①持続可能な観光地域づくりへの寄与 ②独自性・新規性 ③具体性・計画性 ④実施体制・持続性 ⑤収益性の5つの観点が考慮されるが、特に収益性では今回から2024年度から3年分の収支計画を提出書類の1つとして求めるなど、稼ぐことができるかが重要視される。そのほか、「農林水産省の「農泊」や、総務省の「映像コンテンツを活用した地域情報発信」などの取り組みが進むなかで、他省庁との関わりの部分もしっかりと見ていきたい」(豊重氏)。
申請前含めた「伴走支援」の充実を
「インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業」について、豊重氏は「伴走支援が十分ではなかった。実際に、助言を含め、様々な支援が欲しかったという声を地域の方からいただいた」と振り返る。
今回の事業では「地に足ついた支援とする」ため、今回から事務局を担当する博報堂とも協力しながら伴走支援に取り組む。
本事業では、申請前、採択後、事業実施中の3段階で、観光マーケティング分析や商品造成のケーススタディなどの各種オンライン講座、課題ヒアリングや事業者交流会、販路開拓支援、旅行会社との商談会などを予定する。
既に公開されている公式サイトでは、事業の詳細や、事業説明会のアーカイブや資料なども公開されており、申請前支援の各種講座なども見ることができる。