英国、日本市場のリカバリー見通しは?サステナブルツーリズムも取り組み強化

  • 2024年1月22日

  コロナ禍からの海外旅行需要の回復が他国に遅れをとっていた日本。年も明けて今年こそは本格的なリカバリーが望まれるが、果たして客観的な期待感はどれほどか。11月23日と24日に英国政府観光庁(VB)が上海で開催した現地商談会から、VBの日本市場の動向予測や今後の戦略を伝える。

急速に回復する訪英旅行市場

 インバウンド全体では往来再開後に急速に回復。VB会長のニック・デ・ボワ氏は会場で「(23年)1月にはコロナ前の94%減に留まっていた回復状況が、通年では最もコンサバティブな分析で50%減、予約状況からすれば30%減まで回復する見込み」と披露していたが、12月20日にVBが発表した最新の数値では人数が2019年比8%減の3780万人、消費額が12%増の317億ポンドとなる予想に上方修正されており、2024年も同じく2019年比で4%減の3950万人、20%増の341億ポンドを予想している。

 そして今回の商談会の舞台となった中国との間でも、人数こそ回復途上であるものの航空路線は11月末現在ですでに2019年並みの週あたり約100便となり、路線によってはすでに増加に転じている状況だ。

日本市場の現状・見通しは?

 日本からの訪英旅行者数と消費額は2022年には11.5万人・1億6400万ポンドとなり、38.9万人・3億6900万ポンドだった2019年と比べると、人数で70.4%減、消費額も55.6%減に留まった。

 一方、2023年の予測値では、人数は33万人(2019年比15.2%減)といまだ2桁減であるものの、物価上昇もあって消費額は3億7400万ポンド(同1.4%増)とプラスに転じる予測。そして2024年は33万人・4億2500万ポンド、2025年は37.7万人・4億8200万ポンドへと増加するとしている。

 つまり人数については2026年までコロナ前の水準には戻らないというのが公式の予想だが、デ・ボワ氏は日英間路線の回復が順調であることに触れて早期の目標達成に自信を表明。両国間では11月時点で週31便が運航されて座席供給量はコロナ前の78%となっており、日本からの予約も60%まで回復しているとの情報も示された。

グローバルキャンペーンでコロナ後の消費者に訴求

 2024年以降の更なる回復と成長に向けた戦略では、市場を限定しない全体的な方向性としてはグローバルキャンペーン「See Things Differently」を継続。デ・ボワ氏は、「コロナ禍を経て消費者の志向が変化し、なにか新しいこと、今までとは異なることをしたいと願っている」とし、多様な魅力や新たな切り口を訴求することで英国への旅行体験を「いつかしたいではなく今したい」ことへと優先順位を引き上げたい考えを説明。

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 一例としてフィルムツーリズムを挙げ、ダウントン・アビーなどの映像作品の舞台となった場所やホグワーツ特急などのプロダクトが旅行需要に繋がると期待した。