国土交通大臣 斉藤鉄夫氏
新年を迎え、謹んで新春の御挨拶を申し上げます。
新型コロナウイルス感染拡大からの3年間を乗り越え、我が国の経済状況は改善しつつありますが、一方で、昨今の物価高や、いわゆる「2024年問題」など、解決すべき様々な課題にも直面しています。
国土交通省の行政分野においても、資材価格や住宅価格、自動車・船舶・航空機等の燃料価格が高騰し、また、物流や建設業における担い手の確保や生産性の向上が喫緊の課題となっています。
国土交通省として、国民生活や事業活動を守る観点から、関係省庁と緊密に連携しつつ、物価高対策、働き方改革、継続的な賃上げへの取組など、迅速かつ着実に必要な対策を進めてまいります。
また、我が国では、気候変動に伴う自然災害の激甚化・頻発化により、毎年のように災害による深刻な被害が発生しています。昨年も、6月から9月にかけて発生した梅雨前線や線状降水帯、台風等により、各地で大きな被害が生じました。また、年末には、多くの地域で記録的な積雪に見舞われました。
これまでの防災・減災対策等により、被害の未然防止や大幅な軽減につながった事例も数多くありますが、今後とも、国民の生命・財産を守るという国土交通省の極めて重要な使命を果たすべく、事前防災対策を含む防災・減災、国土強靱化を強力に推進してまいります。
このほか、厳しさを増す外交・安全保障環境、少子高齢化や人口減少などを踏まえ、国土交通行政においても、多くの課題に対応していく必要があります。
こうした様々な課題に的確に対応していくためには、現場の声に耳を傾け、国民のニーズをしっかりと捉えることが重要です。
昨年9月には、岸田総理とともに、トラック事業の営業所を訪問し、荷役作業や運行管理の現場を視察して、経営者やドライバーの皆様から直接、ご意見をお伺いしました。また、建設業についても、関係団体との意見交換をはじめ、様々な機会を通じて、建設業の働き方改革や賃上げ等についてのお考えなどを伺ってまいりました。
防災分野についても、被災地域の生の声を聞くことが欠かせません。私自身、昨年7月に福岡県久留米市や秋田県秋田市の大雨による被災現場に入り、被害の実情を現地で確認し、被災された方々の切実な声を聞いてまいりました。
今後も、国民の皆様と、丁寧に、誠実に対話を重ね、小さな声ひとつひとつをよく伺って、真摯に受け止め、国土交通行政に活かしてまいりたいと考えています。
また、国土交通省の現場を持つ強みを活かし、また、気象と防災、まちづくりと地域交通など、分野間の連携を通じて、組織の総合力を発揮してまいります。
こうした姿勢を常に忘れず、施策の立案・実行に全力で取り組み、国土交通省一丸となって、より豊かな国民生活の実現に貢献していく所存です。
本年は、引き続き、特に以下の3つの柱に重点を置いて諸課題に取り組んでまいります。
①国民の安全・安心の確保
②持続的な経済成長の実現
③個性をいかした地域づくりと分散型国づくり
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