JTB 商船三井と提携、ワーケーションやサブスクリプションなど新たなクルーズ商品模索
JTBと商船三井クルーズは11月10日、クルーズマーケット拡大に向けた連携協定を締結した。第一弾として、商船三井クルーズが2024年12月に始動する新ブランド「MITSUI OCEAN CRUISES」のクルーズ船「MITSUI OCEAN FUJI」を全船チャーターし、「JTB 南米ワールドクルーズ 91 日間」を発売する。両社はこれまでも、「にっぽん丸」チャーター事業や「飛んでクルーズシリーズ」の協業商品開発などを行ってきたが、更なるマーケット拡大に向け今回の締結に至った。
商船三井クルーズや郵船クルーズによる2024年以降の新船投入を背景に、JTB代表取締役専務執行役員の花坂隆之氏は、2024年を「第二のクルーズ元年」と位置づける。同社はこれまでも、外国船フライ&クルーズやカジュアルクラス日本発着クルーズの推進などにより、富裕層マーケットの取り込み、ファミリーや若年層へのクルーズ挑戦を促すなど、クルーズの大衆化に取り組んできた。
今回の提携では、新たなクルーズ体験価値の提供による「地域振興への貢献」や、新たなクルーズマーケット掘り起こしによる「ラグジュアリー層の拡大」を目的に、同社海外拠点を活用したインバウンドへの販売強化や、従来はバスによるエスクカーションが中心となっていた寄港地でのコンテンツに関して、「JTB BOKUN」を活用しデジタル販売を進め多様化するニーズに対応するほか、ワーケーションやサブスクリプションなど、新たな個人需要の獲得に向け既存商品に囚われない新たなクルーズ商品開発に取り組む。
2019年に日本のクルーズ人口は過去最高の約35万人を記録したが、同社は今後「100万人を目指す」(花坂氏)。新しいマーケットの掘り起こしにより、「(クルーズ人口の)裾野を広げていきたい」(花坂氏)と語った。
販売される「JTB 南米ワールドクルーズ 91 日間」では、2025年1月9日~4月9日の期間に16の国地域、19の港を巡る。イースター島やリオのカーニバル、マチュピチュ遺跡、ウユニ塩湖などのツアーが組み込まれており、日本語ガイドや、船内での食事では和食比率を上げるなど日本人向けの商品造成がされている。料金は558万円~、2024年1月16日より販売を開始する。
今回の連携協定の締結に関して、商船三井クルーズ代表取締役社長執行役員の上野友智督氏は、寄港地での観光に際しJTBが持つ豊富な知見、経験、アイデアに期待する。また、現在同社の顧客のほぼ100%が日本人となる中で、インバウンドへの訴求に繋げたい考えだ。