宿泊業界の変化は?民泊業界は一棟貸切や「古民家」に注目?-WiT Japan2023
古民家を民泊へ、地方創生への寄与に意欲-Airbnb
一方、Airbnb Japan公共政策本部本部長の大屋智浩氏は「コロナ以降、ワーケーションをはじめ柔軟な旅行者が増えた」と振り返り、「Airbnbは新しいタイプの観光地に合うよう、住んでいるかのように生活できる旅を提供できる」とアピールした。
同社では現在、古民家を宿泊施設として活用する取り組みを進めており、全国古民家再生協会に1億5000万円を寄付している。大屋氏は寄付について宿泊傾向の変化と、2025年に控える大阪・関西万博に向けた対応である旨を説明。「日本には1000万軒の空き家があり、活用されていないのは国として大きな問題。空き家を活用して地方都市でどうするか」と、空き家を活用して地方創生に寄与したい考えを述べた。
全国古民家再生協会への寄付金については「歴史的資源を活用した古民家整備事業」として古民家を宿泊施設に転換するための補助金として活用されているという。大屋氏は「日本は大きな市場であり成長させていきたいし、需要も高い」とコメント。歴史的建造物を活用したバケーションレンタルについて、サイト上で「歴史ある建物」カテゴリを構築してユーザーから見つけやすくしていることを説明した。
その上で大屋氏は今後、日本全国の空き家のうち立地の良いものを中心ターゲットに据え、空き家の宿泊施設化に取り組みたい考えを表明。そのためには「地元コミュニティとの連携」が必須との考えで、「Airbnbは都道府県に複数の支部があり、そことの連携が重要。地元の人との信用・信頼がないといけない」とした。
自社のクラウド運営システムを活用、フランチャイズも検討-SQUEEZE
SQUEEZE代表取締役CEOの舘林真一氏は「コロナでタッチレス、接触なしのバーチャル化の手法が広がり、パーソナル化されたエクスペリエンスが求められており、今後もその傾向は続く」と説明。自社でモバイルチェックインをはじめとしたクラウド運営システムを宿泊施設に提供していることを事例を交えて語った。例えばJR東日本グループとはSuicaを活用したスマートホテルブランド「B4T(BED FOR TRAVEL)」で提携。SQUEEZEのクラウド型ホテル管理システム「suitebook」をB4Tに提供しているという。
舘林氏は「JRのような大企業やホテルチェーンなどはシステムの統合や柔軟性のあるシステム構築が課題となっている」と話し、B4Tではクラウドによる一元管理モバイルチェックイン機能などを活用していることを紹介。Suicaがホテルのルームキー代わりになり、Suicaでタッチすることでチェックイン・アウトができるようになったという。今後は自社のマーケティングプラットフォームを活かしつつ、フランチャイズ展開も検討指定していく考えだ。
加えて同氏は今後の課題として宿泊業界の人手不足を改めて挙げ、「コンシェルジュ、フロントオペレーションは自動化できる部分はあり、ChatGPTで最適化できるが、オンサイトのオペレーションやハウスキーピングなどをいかに最適化するのかが課題」とコメント。テクノロジー系のスタートアップの活用の可能性を示唆した。