宿泊業界の変化は?民泊業界は一棟貸切や「古民家」に注目?-WiT Japan2023
個性的なホテルのコツは「小さく始める」こと
セッションに参加した水星代表取締役CEO兼ホテルプロデューサーの龍崎翔子氏は、個性的なホテルの運営者ならではの視点でコメントした。水星は京都や大阪、金沢で小規模のホテルを、東京都内で産後ケアホテルをそれぞれ運営。加えてホテルに宿泊して没入的に演劇が楽しめる体験型イベント「泊まれる演劇」を企画実施している。
龍崎氏はこうしたイベントのアイデアについて「ホテルのプランや経験に対し、実際にお金を払ってもそういった思いや経験をしたいかが重要」と語るとともに「小さなところから始めることも大切」との考えを示した。もともと「泊まれる演劇」は同社が運営する京都の「HOTEL SHE, KYOTO」のオフシーズンに開催。コロナ禍のため最初はオンラインイベントとして実施したが好評で、数を重ねるごとに大規模化し、現在は年間約100回開催している。イベントにより「オフシーズンでも稼働率が99%まで上がった」(龍崎氏)という。
なお、セッションでは最後にモデレーターを務めたWiT実行委員責任者でサヴィーコレクティブ代表取締役社長の浅生亜也氏が「今後の注目すべきポイント」を質問。これに対し龍崎氏は岡山にある競輪場と一体化したホテル「KEIRIN HOTEL 10」をあげ、「ホテルというものはメディアだと思う。KEIRIN HOTEL 10はミレニアル世代のコンセプトになったのでは」と指摘した。
コロナで一棟貸切が人気に、取扱拡大に意欲-楽天ステイ
「The New World of Hospitality」のパート2では楽天ステイ、Airbnb Japanのバケーションレンタル関連2社と、ホテル運営に加え宿泊施設にクラウドベースの宿泊管理・運営システムなどを提供しているSQUEEZEの3社が登壇した。
楽天ステイは不動産オーナーから委託を受けて運営代行している「Rakuten STAY」と、宿泊・民泊予約サイト「Vacation STAY」を展開中だ。代表取締役の太田宗克氏は「コロナへの懸念によりこれまでのホテル・アパートメントスタイルの民泊から1棟貸ヴィラスタイルへの関心が高くなってきた」と昨今のトレンドを解説。楽天ステイでも同じ傾向があるとした。
同氏は「大型犬がいたり、コロナが怖かったり、介護している両親と同居していたりといった、旅をしにくい事情がある人が楽しめるようRakuten STAYを活用してもらいたい」とアピール。Rakuten STAYでは楽天市場で人気の商品や楽天Koboなどの楽天グループのサービスを提供していることに触れ、「Rakuten STAYで新しい体験やオプションを提供し、旅を楽しめるようにしていく」と話した。
7月6日時点で同社はRakuten Stayを約630室有しているが、今後は年末までに1000室をめざし、数年後には1万室に増やしたい考え。また、太田氏は「楽天の最大の課題はグローバル化」とし、「国内に注力してきたが、今後は海外にも目に向けていくことが課題」とも話した。