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ニューカレドニア観光局、日本市場で活動本格再開、25年完全回復へマーケティング強化

  • 2023年8月3日

ニューカレドニア観光局が日本市場での活動を強化している。もともとフランス本国と海外領土であるニューカレドニアをつなぐ経由地として日本が選ばれるなど関係の深いデスティネーションで、コロナ禍になるまでは事務所を置いて活動し以降はエアカラン(SB)が業務を代行していたが、このほど改めてマイルポストを日本事務所の委託先として指定。斉藤麻帆氏が日本支局長に就任した。

(右から)ニューカレドニア観光局本局総裁のミカエル・フォレスト氏、日本支局長の斉藤麻帆氏、本局総局長のジュリー・ラ・ロンド氏、SB CCOのウィリアム・ル・グラン氏

 8月1日には、東京・銀座でメディアを対象としたセミナーと懇親会を開催、約80名が来場。本局総裁のミカエル・フォレスト氏はセミナーの冒頭、「日本とニューカレドニアの関係は非常に重要で戦略的位置付けが高い。関係は130年以上も続いていて、2023年1月には日本領事館も開設された」と挨拶。そのうえで、「エアカランに加え、わたしたちのデスティネーションを代表する新しいチームを発表できることを誇りに思う」と語った。

 また、同時に来日したSBでCCOを務めるウィリアム・ル・グラン氏も懇親会で、同社が40年前に南太平洋のリージョナル航空会社として運航を開始し、その後に観光と経済活動の促進をめざして2000年に関空、2003年には成田への運航を開始したことを紹介。そして「会社としての40周年、成田路線の20周年を祝えることが嬉しい」と語り、「長い友好関係のもと、日本はデスティネーションとしてのニューカレドニアにとってもエアカランにとっても重要市場であり続ける」と挨拶した。

 フォレスト氏は本誌などの取材に対し、コロナ禍は「自然が豊かで安全で混雑していないオーセンティックな旅行先」への需要を高めたがニューカレドニアはその特徴をすべて備えていると強調。また本局総局長のジュリー・ラ・ロンド氏は、往来の再開に伴って徐々にマーケティング活動も再開していることを紹介し、キャンペーンやメディア、インフルエンサーとのPR活動を実施しているほか主要な旅行会社との販売キャンペーンも開始しているとした。

 この結果、最大の市場であるフランスとそれに次ぐ豪州、そしてニュージーランドの各国からの訪問者数は順調に回復し、全体でも2022年の段階で2019年比40%減まで戻ったところ。2023年も5月までの累計で豪州、ニュージーランドは30%以上の増加、フランスも8%増と好調に推移しているという。

 一方、日本市場については「残念ながら非常に少ない状況」(ラ・ロンド氏)で、今年も72%減と苦戦が続いている。それでもフォレスト氏は、日本人の旅行マインドの減退だけでなく円安や航空運賃、燃油サーチャージの値上がりなども背景にあると理解を示し、これからの年後半に期待を示した。

 今回のマイルポストとの契約も日本への期待の表れで、ラ・ロンド氏は「再編成ではなく通常に戻したということ」とし、「コロナで予算を最適化せざるを得ず、ブランド認知度や販売パートナーとの関係を維持のためにSBに委託したが、日本の需要が徐々に高まっているなかでSBは本来の業務に集中する必要がある」と意図を説明した。日本市場の回復見通しについては、年内で40%から50%を期待し2025年までに完全回復を目指す考え。

 そのなかで旅行会社と協働を進めるほか、旅行商品や旅行形態の多様化にも取り組み、オンライン化、FIT化にも対応する。そうした取り組みの一例として、8月1日から今年3回目となるSBとのセールスキャンペーンを開始。往復航空券を燃油や諸税を含めて7.4万円から販売する。

 日本市場でのプロモーション方針については、斉藤氏がまず半年間は認知度の向上をめざして消費者向けメディアでの露出増に取り組む考えを説明。セミナーでも9月に実施するプレスツアー2本を紹介した。

 また、斉藤氏は小説と映画の「天国に一番近い島」のイメージがある中高年に向けた活動は継続しつつ、若い世代に対しては「“南の島と行ったらニューカレ”とすぐにイメージができるようなメッセージを発信していきたい」との考えも表明。そして他の島々との差別化については、フォレスト氏が「フランス文化とメラネシア文化の融合はニューカレドニアが誇る文化の多様性だ」と語った。

 このほか斉藤氏は、ニューカレドニアの魅力について「エクスクルーシブ」「穏やかな気候」「広大な土地の多彩な魅力」「世界遺産のラグーン」「手つかずの大自然」「食事も含めた文化」「先進国のインフラ」などのテーマを列挙して紹介。例えばエクスクルーシブでは、人口密度が東京23区では1km2あたり約1.5万人であるのに対してニューカレドニアはたった14人であることに触れ、「人混みから離れて、“あなただけのビーチ”と言えるような、まさにここが天国と思えるようなビーチ」が待っていることをアピールした。

 なお、ニューカレドニアの首都であるヌメアでは、サメによる被害を避けるための遊泳禁止の措置が取られてきたが、期間は11月末までとなっており以降は解除が期待できるとのこと。またそれまでの間も、フェンスで囲んだ遊泳エリアも利用可能になっているという。