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現地レポート:ニューカレドニア初紹介、「天国にいちばん近い島」の現在は?

  • 2023年7月19日

地上の楽園のようなウベア

 アンスバタから約20分のマジェンタ空港からウベアまでは約40分。ウベアのビーチの美しさは視察中でも随一で、透明度の高さと砂浜の白さが際立っていた。

到着してすぐの道路沿い。これでもいつもより「濁っている」というから驚き。ちなみに飛行機の座席は早いもの勝ちの自由席で、窓からもこの美しい景色が堪能できるので是非確保したいところ

 時間や場所によって表情は変わり、例えば三日月型の島の南側にある入り江では、不思議に侵食された崖の下に薄く水が張り、空想上の世界に迷い込んだような感覚になる。

ウベア島からムリ島へ渡るムリ橋のすぐそば。その橋は架替えが進んでいて9月末にも完成予定とか

 とはいえ世界には景観が素晴らしいビーチリゾートはたくさんあり、これまでの経験を思い返してみても甲乙つけがたいというのが本音。しかしそんななかでもウベアで確実に言えるのは「人がほとんどいない」という点で、リゾート「パラディ・ド・ウベア」の前には何kmも続く長大な白砂のロングビーチが広がっているが、訪問時に目視できたのはFAMの同行者のみ。こんな贅沢はなかなかないのではないか。そして最初に触れた通り人々も物質的には質素でも見るからに満ち足りている様子で、誇張ではなく楽園とはこういう場所のことを言うのかもしれないと感じた。

ムリ橋近くの砂州で撮影。人影のひとつも見えない

 ちなみに、この人口密度の低さはニューカレドニア全体にも通じる話で、四国と同程度の総面積に対して人口はたった27万人超(茨城県水戸市並み)。そしてそのうち約10万人はヌメア在住で、対する四国4県は合計372万人超とその差は歴然。人の多い場所を避けたい、大自然のなかぽつんと一人で開放的な時間を楽しみたい、といったコロナ禍で人気の上昇した旅行スタイルにも最適なデスティネーションと言える。

ウベア島の人口はネット上の情報だと4000人前後の様子。手つかずの自然や文化に出会うことができる

メラネシア的建築とスコットランドのような景色に魅せられるブーライユ

 最終日に夜便の搭乗前に訪れたのがヌメアから車で約2時間半のブーライユ地区で、寄り道はせずシェラトン・ニューカレドニア・デヴァ・スパ&ゴルフリゾートをデイユース。

武器はなんといってもメラネシアの伝統を踏襲した建築。メイン棟は高い天井にむき出しの太い梁が圧倒的な存在感で、多くの同行者が感嘆の声を上げていた

 施設内では18ホールのゴルフコースが最大の特徴。ゴルファー以外は無関係と思いがちだが、近くの客室から見えるコースとその奥に緑の山々が連なる眺望は間違いなくおすすめ。またこちらのスパにはドライ&ウェットの2種類のサウナもあり、「サ活」が人気の昨今、南国の森の音を聞きながらの「ととのい体験」は有効なフックになるだろう。

ゴルフコースビュー。本当にスコットランドのような景色で、ニューカレドニアといえば海の印象が強いが実際にはこうして多様な顔を持っていることがわかる

 そしてもちろん目の前のビーチもご覧の通り。ネット上では「本島にきれいなビーチなし」といった情報も見られるが、まったくそんなことはない。

シェラトン・ニューカレドニア・デヴァ・スパ&ゴルフリゾート前のビーチ。ヌメアやアンスバタ、メトル島などヌメア市内ではサメの危険に対する予防として一時的にヌメアの海岸線から300メートル以内遊泳禁止の措置が取られているが、ウベアなどの離島やブーライユなどヌメアの市外ならば引き続き可能だ

最大の特徴は脱力感?

 最後に全体的な感想を書いておくと、ニューカレドニアは「手つかず」が差別化のポイントかもしれない。手つかずの自然を打ち出すデスティネーションは他にもあるが、こちらは自然はもちろん観光自体がほどよく手つかず。ウベアもブーライユもポテンシャルで言えばもっと多くの旅行者が押し寄せている方が自然なくらいなのに、そうはなっていない。

グランドテール島、アンスバタ地区にある「ウアントロの丘」からの眺め

 鉱物資源で潤っていることも背景にあるのかもしれないが、いずれにしてもそうした力の抜けた雰囲気がフランスならではの洗練性や古くから続いてきている先住民の社会・文化、優しいホスピタリティ、フランス語圏という非日常感、ゆったりとした時間の流れなどと相まって独特の体験となり、筆者にとってとても新鮮だった。

ウベア島の3枚。どこを切り取っても絵になる

 ヌメアでも夜道は真っ暗になったりネット環境が日本などに比べて不十分だったりと不便さはあるものの、それは魅力を曇らせるものではなく、むしろそこには旅行会社が力を発揮できる部分もある。また、同じ理由からハネムーナーだけでなく旅慣れた人にこそ勧めたいデスティネーションとも感じた。

エアカランのプレミアムエコノミー用アメニティもニューカレドニアならではのデザインが採用されている

 なお、ニューカレドニア観光局はこのほど日本事務所をマイルポストに委託することを決定。SBとのタッグでさらに誘客の活動が活発化することが期待される。

取材協力:エアカラン