現地レポート:ニューカレドニア初紹介、「天国にいちばん近い島」の現在は?
地上の楽園のようなウベア
アンスバタから約20分のマジェンタ空港からウベアまでは約40分。ウベアのビーチの美しさは視察中でも随一で、透明度の高さと砂浜の白さが際立っていた。
時間や場所によって表情は変わり、例えば三日月型の島の南側にある入り江では、不思議に侵食された崖の下に薄く水が張り、空想上の世界に迷い込んだような感覚になる。
とはいえ世界には景観が素晴らしいビーチリゾートはたくさんあり、これまでの経験を思い返してみても甲乙つけがたいというのが本音。しかしそんななかでもウベアで確実に言えるのは「人がほとんどいない」という点で、リゾート「パラディ・ド・ウベア」の前には何kmも続く長大な白砂のロングビーチが広がっているが、訪問時に目視できたのはFAMの同行者のみ。こんな贅沢はなかなかないのではないか。そして最初に触れた通り人々も物質的には質素でも見るからに満ち足りている様子で、誇張ではなく楽園とはこういう場所のことを言うのかもしれないと感じた。
ちなみに、この人口密度の低さはニューカレドニア全体にも通じる話で、四国と同程度の総面積に対して人口はたった27万人超(茨城県水戸市並み)。そしてそのうち約10万人はヌメア在住で、対する四国4県は合計372万人超とその差は歴然。人の多い場所を避けたい、大自然のなかぽつんと一人で開放的な時間を楽しみたい、といったコロナ禍で人気の上昇した旅行スタイルにも最適なデスティネーションと言える。
メラネシア的建築とスコットランドのような景色に魅せられるブーライユ
最終日に夜便の搭乗前に訪れたのがヌメアから車で約2時間半のブーライユ地区で、寄り道はせずシェラトン・ニューカレドニア・デヴァ・スパ&ゴルフリゾートをデイユース。
施設内では18ホールのゴルフコースが最大の特徴。ゴルファー以外は無関係と思いがちだが、近くの客室から見えるコースとその奥に緑の山々が連なる眺望は間違いなくおすすめ。またこちらのスパにはドライ&ウェットの2種類のサウナもあり、「サ活」が人気の昨今、南国の森の音を聞きながらの「ととのい体験」は有効なフックになるだろう。
そしてもちろん目の前のビーチもご覧の通り。ネット上では「本島にきれいなビーチなし」といった情報も見られるが、まったくそんなことはない。
最大の特徴は脱力感?
最後に全体的な感想を書いておくと、ニューカレドニアは「手つかず」が差別化のポイントかもしれない。手つかずの自然を打ち出すデスティネーションは他にもあるが、こちらは自然はもちろん観光自体がほどよく手つかず。ウベアもブーライユもポテンシャルで言えばもっと多くの旅行者が押し寄せている方が自然なくらいなのに、そうはなっていない。
鉱物資源で潤っていることも背景にあるのかもしれないが、いずれにしてもそうした力の抜けた雰囲気がフランスならではの洗練性や古くから続いてきている先住民の社会・文化、優しいホスピタリティ、フランス語圏という非日常感、ゆったりとした時間の流れなどと相まって独特の体験となり、筆者にとってとても新鮮だった。
ヌメアでも夜道は真っ暗になったりネット環境が日本などに比べて不十分だったりと不便さはあるものの、それは魅力を曇らせるものではなく、むしろそこには旅行会社が力を発揮できる部分もある。また、同じ理由からハネムーナーだけでなく旅慣れた人にこそ勧めたいデスティネーションとも感じた。
なお、ニューカレドニア観光局はこのほど日本事務所をマイルポストに委託することを決定。SBとのタッグでさらに誘客の活動が活発化することが期待される。