新規日本路線は「年間での就航目標」、公示運賃にコミッション設定も-ウエストジェットCCO ジョン・ウェザリル氏
5月より開始した成田/カルガリー線が初の太平洋路線就航となったカナダのウエストジェット。現時点では10月28日までの季節便となるが、CCO(Chief Commercial Officer)のジョン・ウェザリル氏は、今後年間通しての就航の可能性もあると語る。また、同社はこれまでの3空港を中心としたネットワーク体制から新たに、カルガリー空港をグローバルハブとした戦略を推し進めるという。今回は同社の日本路線での戦略などを中心にジョン・ウェザリル氏にお話しを伺った。
-経歴等自己紹介をお願いできますでしょうか。
ジョン・ウェザリル氏(以下敬称略) ウエストジェット入社前はInterVISTAS Consultingという会社に勤めておりまして航空業界では20年以上の経験があります。以前の会社では航空ルートやサービスの開発に加え、ヨーロッパ、アジア、中東、アフリカ、北米で空港や政府に向けた様々なプロジェクトを主導してきました。
その後2013年にウエストジェットへ入社。航空ネットワーク及びスケジュール計画の責任者から始まり、その後レベニューマネジメントの部門などを経験し、2021年3月よりCCO(Chief Commercial Officer)となりました。現在は「カルガリーのハブを通じてカナダと北米を世界につなぐ」というビジョンのもと、今後の戦略やブランディング展開などを指揮しています。
カルガリーは、バンフ、カナディアン・ロッキーに見られるような多くの自然を有しつつ、バンクーバーや、トロント、赤毛のアンの舞台となったプリンス・エドワード島などカナダの他の地域への玄関口でもあります。今回の日本就航により、レジャーやビジネスの旅行者がカナダの各地域をより楽しんでいただけるきっかけとなることを期待しています。
-コロナの影響はどのようなものだったのでしょうか?
ウェザリル コロナ禍のダメージはカナダ及び当社ももちろん大きいものでした。当社は約7割のスタッフのレイオフを余儀なくされ、約9割のフライトスケジュールをキャンセルし、収益は約97%減少しました。
ただ現在は回復傾向で、今年1月~3月の国内国際含めた搭乗者数は2019年同日比で9割を超え、収益としてはコロナ前を超えております。航空ネットワークも国内線は既に2019年並みに回復しており、国際線もアメリカやヨーロッパ方面の一部路線は2019年レベルを超えているところもあります。また、スタッフについても2019年比で既に9割ほどまでに戻っています。
-今回、初のアジア路線として成田/カルガリー線就航を決めた経緯や狙いをお聞かせください。
ウェザリル これまではバンクーバー、トロント、カルガリーの3都市をベースに路線を広げてきましたが、今後の新しい戦略としてカルガリーにポイントを置きネットワークを広げようと考えています。その中で世界約50以上の都市への接続が可能となる東京は、ウエストジェットのアジア初の就航地としては当然の選択です。季節便ではありますが、今回の就航によりウエストジェットはアルバータ州から直接アジアにアクセスできる唯一の航空会社となります。
先程我々のビジョンでも少し触れましたが、今回の路線では日本の皆様にカナダ西部を訪れて、カナディアン・ロッキーなどアルバータの美しさに触れていただくとともに、ブリティッシュコロンビア州からアトランティック・カナダまでのカナダ全土へと接続することを目的としています。また、カナダ人観光客にも日本を訪れてもらい、文化や歴史に触れ相互での交流が生まれることを期待しています。
-アジアへの路線として今後就航地を増やす計画はあるのでしょうか。
ウェザリル 新規路線の開拓よりは、まずこのカルガリー成田路線に集中し、便数を増やし季節便ではなく年間で就航することを目標としています。アジアの各都市へは日本航空とのコードシェアにて繋げていくという考えです。
幸いにも日本路線の予約滑り出しは非常に好調で見通しには満足しています。今回の日本路線の結果やカルガリー方面への冬シーズンのスキー需要、またカルガリーを経由したカナダアメリカなど約80都市へのコネクションの需要があれば、冬シーズンの運航及びデイリー化などの可能性も出てくると感じています。