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若者にヒットする会社説明会の10のポイント-リクラボ 久保亮吾氏

  • 2023年3月27日

⑥細かくグループをわけて相談会のような雰囲気をつくる

 これは、とあるホテル企業がやっていたことなのですが、その企業は自社説明会だろうと合同説明会だろうと、ものすごいスタッフ数で参加するのです。人事担当だけでなくホテルの現場など、他部署からの応援も加えてやってきて「何をするのかな?」と思っていたら、全体の説明会は早々に終わらせ、その後は5人程度の小さなグループをたくさん作り、そこに社員が一人ずつ入って車座になって話し込むという作戦でした。

 なるほど圧倒的に距離感近く話をすることができ、求職者側も満足度が高い様子でしたし、企業側は「この人は欲しいな」などと言う場合は相手の名前を覚えて帰っていました。説明会の場で人間関係を作ってしまう作戦で、説明会→一次応募の歩留まりがよくなり、応募者数が増えます。

⑦入社後の多様な可能性をアピールする

 若者たちの反応を見ていると実感することなのですが、入社後に多様な可能性が用意されている企業に惹かれる傾向があるように思います。

・自薦型部署異動制度
・関係企業への転籍システム
・海外へのチャンス

 などです。MC(マネジメントコントラクト)やFC(フランチャイズ)など、いろいろなハードルはあるものの、グローバルチェーンホテル企業の説明会ではこうした制度を説明会で推してくる傾向が最近強くなりました。これには国内にシスターホテルが相当に増えたことも影響しているかと思われます。

 制度はあるのにアピールしていない会社も多いので、自社のどんな制度が相手にヒットするのかを把握することが大事です。

リクラボが就職サポートをしている東京YMCA国際ホテル専門学校には今年、70社以上の企業が会社説明会を実施するために訪れた

⑧SNS、LINEグループでお友達になってしまう

 これもある企業が実践されていたことで、「へえ!そういう時代かあ」と感心しました。その企業では採用のLINEグループを作っていて、説明会後に「よかったらグループに入ってください。気になることがあったらLINEで何でも聞いてください」と伝えていました。

 人事側からも定期的にLINEに情報を書き込んでいるそうで、これは囲い込みには力を発揮すると感じました。

⑨意外と福利厚生の話は時間をさくべき

 事業内容については熱心に語ったものの、福利厚生については「こんな感じです」と、パワーポイント1ページでサラリと流してしまう企業も多いです。ぜひ、年間休日数や休みやすさ、産休・育休の取りやすさ、社員寮やその他のベネフィットについて自信のあるところを多いに話してください。

 「そんな甘いアメの部分だけに惹かれてくる人材は主体性がないんじゃないか」と言うのは昭和世代感覚・・・。若者はあくまで総合的に企業を見ています。

⑩本当に欲しい人にたいしては日ハムの大谷翔平獲得方式

 北海道日本ハムファイターズが2012年に作成した「大谷翔平君 夢への道しるべ」というプレゼン資料がネット上に公開されおり、今になって再び話題となっています。言わずもがな、「アメリカにいきます」と宣言した当時18歳の大谷選手に対して、それを思いとどまらせ、日本プロ野球でのキャリアをスタートさせたプレゼンです。

 31ページにもなる資料ですが、採用に関わる人はこれを一度見るべきかと。資料の大きな趣旨は「こういう理由によって、大谷君は我々のチームでキャリアをスタートしてからメジャーリーグに行くべき」というものです。

 説明会というテーマから若干ズレるかもしれませんが、これは学生が企業に言うはずの志望動機を企業側から逆提案しているということではないでしょうか?

「○○○○という理由で、あなたは私たちの会社の一員になり、そしてあなたの夢をかなえるべき」と、いったんは100%若者側の目線に立って考えた説明会や面接を考えてみてはどうでしょう? そういう姿勢に惚れ込んで「私はこの会社で成長したいです!」と飛び込んでくれる若者が現れるかもしれません。

久保亮吾
ホテル業界専門人材会社リクラボ代表。
立教大学卒業後、藤田観光株式会社入社。ホテルの現場経験の後、本社人事部人事企画課に在籍。その後、株式会社オータパブリケイションズに入社。週刊ホテレス編集部に在籍し、後に編集長を務める。 オータパブリケイションズ在籍時の2002年に就職応援団体としてリクラボを設立。2014年にリクラボを法人化し、厚生労働大臣認可を受け人材紹介事業を展開。