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若者にヒットする会社説明会の10のポイント-リクラボ 久保亮吾氏

  • 2023年3月27日

 ホテル業界専門の人材会社リクラボの久保亮吾です。宿泊産業の人材市場をとりまくトピックについて書いています。3月20日の日経新聞1面トップに「大卒採用、来春21%増」との記事がありました。企業の採用意欲はかなり強い状態で、若者に関してはもはや奪い合いの様相を呈している状況です。

 ということで今回は毎年数十社の宿泊産業の企業説明会を拝聴している立場から「どんな説明会が若者にウけるのか」をまとめていきたいと思います。新卒採用をイメージしていますが、中途採用の説明会でも使えるものもあると思います。また、最近はオンラインでの説明会も増えていますので、そちらでも意識してみると良いかもしれません。

若者にヒットする会社説明会の10のポイント

・採用担当者のキャラとキャリアを前面に出す
・インタラクティブな時間と空間の演出
・たんなる自社の宣伝ではなく就活アドバイスを
・「業界全体の今」など、聞いてタメになる内容を
・ホームページを見ればわかる話はしない
・細かくグループをわけて相談会のような雰囲気をつくる
・入社後の多様な可能性をアピールする
・SNS、LINEグループでお友達になってしまう
・ 意外と福利厚生の話は時間をさくべき
・ 本当に欲しい人にたいしては日ハムの大谷翔平獲得方式


①採用担当者のキャラとキャリアを前面に出す

 根本的に、いわゆる「ザ・説明会」といえるような、人事担当が一方的に“当社の説明をいたします”というスタンスの説明会は、超売り手市場の昨今では数多くの説明会の中に埋もれるのが関の山であることは言うまでもありません。たんなる説明であれば、youtubeで動画を見せたほうがよっぽど伝わります。

 まずは生の人間がそこに立っている(オンラインでも)ということの価値を出し、その人の人生を通して所属会社を伝えていくことで参加者との距離をグっと近づけることが寛容でしょう。必然的にプレゼンターのプレゼン能力は大変重要です。棒読みの「ザ・説明」に若者たちは一切耳を貸しません。

 自分はどんな人間で、どんなことを考えてその会社で働いているのかなど、話し手の魅力を最大限に出す必要があります。

担当者のキャラを出し、双方向性のある会にすること。また一方的な宣伝ではなく“タメになる時間”を演出する

②インタラクティブな時間と空間の演出

 「一方的な情報であれば動画で十分」というのが若者の正直な気持ちです。やはり、場の空気感にあわせて、オーディエンスに話しかけたり、質問を投げかけたり、場合によってはクイズやスマホを使ってその場でアンケートに答えてもらいながら、会場の要望にあわせて進行している見せ方をするのも有効でしょう。

 Mentimeterというプレゼンテーションプラットフォームを使うと、リアルタイムで大人数の意見を集積・グラフ化したり、クイズをつくったりして会場に一体感を持たせることができます。これはオンラインで相当数の人がアクセスしている場合にも有効です。簡単に使えますので、ぜひ活用してみてください。

 例えば

今日の説明会で皆さまが一番聞きたいことは何ですか?

A.観光産業全体の今の状況について
B.当社の実績とビジョンについて
C.当社で働く社員の生の声


 などというスライドをMentimeterで作ると、その場で参加者が自分のスマホで投票ができます。結果を画面に出して「あ、ではCが一番多数でしたので、今から実際にオンラインで現場で働いている弊社の社員とつないで話を聞いてみましょう」などと展開して、会社で待機している社員にZOOMでつないで話し、会場からの質問もその社員にぶつけたりすると、ものすごくインタラクティブな演出ができます。

③たんなる自社の宣伝ではなく就活アドバイスを

 求職者側は何社もの説明会を聞いているわけですから、たんなる会社の宣伝に終始されると正直言って「飽き飽きしています」という状態。そこで有効なのが就活アドバイスなど、就活そのものに役立つアドバイスを説明会の中に盛り込む。たとえば、「決算書のこんなところに注目するとよいよ」とか「業界の最新トレンドはこんな感じですよ」とか「面接ではこんな話ができると、人事は興味をもつよ」などです。

④「業界全体の今」など、聞いてタメになる内容を

 その企業と、そこが属している業界の関係性を含めて、全体像を見せてあげると若者は興味を持ちます。 「あの企業の説明会を聞いていたおかげで、別の会社の面接で話す内容について厚みが出た」という、“聞いてタメになる説明会”を成立させるとよいでしょう。

 ③と共通することなのですが“情報の押し売り”の雰囲気が出ると若者の心は遠ざかっていきます。「あなたに有益は時間をつくりましょう」というスタンスでプログラムを作るとよいでしょう。

⑤ホームページを見ればわかる話はしない

 求人ページに書いてある内容をひたすらなぞる説明会がありますが、はっきり言って一番退屈です。説明会の最初から「今日はホームページには書いていないことをお話しします」と言ってスタートしたほうが、よっぽど興味をもつと思いませんか。

 そして説明会の最後にスクリーンにQRコードを映し、「弊社の事業概要や採用情報については、こちらのQRコードから飛んでください」とやればよいのです。