海外旅行の現状や本当の競合は?-RT Collection 柴田真人氏
第26回目のコラムは「海外旅行の現状や本当の競合は?」について書いていきます。
昨年の10月以降、インバウンドの問い合わせが爆発的に増えました。私がお手伝いしている訪日旅行事業も昨年の10月以降、全力疾走が続いており、人員を増やしてギリギリのところで踏ん張っている状況です。それもそのはず、昨年9月の段階では2019年比で9%だったものが、10月には20%、11月には38%、12月には54%と短期間で急回復しました。そして、桜シーズンを迎える来月から再来月にかけてはすでに新規予約やラストミニッツの問い合わせをストップしているほど受注数が多くなっています。来月、再来月を迎えるにあたって、もうひと踏ん張りしないとと改めて気持ちを入れ替えた事業者も多いのではないでしょうか。
一方で日本人の海外旅行はというと・・・・
先日、海外のホテル向けに日本マーケットの海外旅行動向のレポートをまとめる作業をしていたので、今回のコラムは海外旅行動向について書こうと思っていたところ、「業界ニュースを振り返る」のコーナーでも取り上げていたので、内容がかぶらないように少し違った目線で書こうと思います。
次のデータはJTB総合研究所の日本人出国者数統計データを引用させていただき、各国政府観光局や現地のイミグレーション等の最新データを追加したものになります。ハワイ、シンガポール、タイ、モルディブの4つのデスティネーションの2022年の日本人入国者数および2019年比の割合をまとめてみました。
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データから2022年の年間の日本人旅行者数が2019年比でどれくらいだったのかというと、ハワイが約12%、シンガポールが約15%、タイが約16%、モルディブが約19%でどのデスティネーションも散々たる状況でした。日本入国時にワクチンを3回以上接種済みの場合は出発72時間前以内のPCR検査が不要になるという昨年10月の条件緩和のニュースで、海外の事業者が日本マーケットの復活に大きく期待した半面、現実は期待された以上の回復はなく、今現在も厳しい状況が続いています。
一方で直近の2022年12月だけに着目すると2019年の同月比でハワイが27%、シンガポールが29%、タイが33%、モルディブが42%となっています。日本人旅行者数の母数の違いはあるものの、モルディブの42%は他のデスティネーションよりも早いスピードでマーケットが戻ってきています。JTBが発表した2023年の年間旅行動向推計数値にあった2019年比の海外旅行の40.4%の予想をすでに上回っており、モルディブについては2023年に70%前後まで回復するのではと個人的に予想をしています。もちろん、ターゲットが明確なデスティネーションの特性や違いはあります。
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