「海外旅行の機運醸成を」、トラベル懇話会-コロナで世界の構図激変も
トラベル懇話会は1月12日に新春講演会を開催し、会長の百木田康二氏と日本旅行業協会(JATA)会長の髙橋広行氏らが登壇し、2023年の海外旅行復活に向けた意気込みを語った。
両氏は、コロナ禍も3年目となった2022年はロシアによるウクライナ侵攻や原油の高騰、円安などに見舞われつつも国内と訪日は回復の道筋が見えてきたと指摘。百木田氏は「間違いなく潮目が変わった」と語り、今年は更に力強い回復が期待できるとした。
一方、海外旅行については11月の推計値で訪日が2019年比61.7%減まで戻したのに対し、出国者数は76.9%減と遅れているところ。百木田氏と髙橋氏はこうした状況について危機感をあらわにし、特に海外旅行に行っても問題ないという機運の醸成が不可欠であると訴えた。
百木田氏は、「海外旅行復活が最大の懸念」とした上で、トラベル懇話会の会員も苦境が続いているとし「復活のためには海外に出ていって良いのだというお墨付き」が必要と強調。「5類」への速やかな移行や海外修学旅行復活の鍵となるワクチン接種義務の撤廃を訴えることで、海外、国内、訪日の「三位一体」での復活を目指したい考えを語った。
また髙橋氏も、「今年はなにがなんでも海外旅行を回復させることが最重要課題」であるとし、現在の「足踏み状態」の要因は円安や旅行費用の高騰などもあるものの「萎縮したメンタリティ」が大きな課題となっていると言及。そのうえで、韓国や台湾など個別デスティネーションごとに戦略を策定してリカバリーに取り組んで海外旅行の実績を積み上げ、全体の機運醸成に繋げていきたいと語り、「夏休み頃までには回復の足がかりを作って、下期には回復の流れを確かなものにしていきたい」「海外旅行の復活なくして旅行業界の復活なし」と強調した。
このほか、観光庁審議官の池光崇氏も挨拶に立ち、単なる観光振興だけでなく「第2のふるさとづくり」やワーケーションなど幅広く活性化に取り組んでいることを紹介。また訪日分野では観光再始動事業として100億円が確保され、日本のコンテンツを磨き上げて様々な仕掛けやイベントを仕込んでいくと意欲を語った。