「海外旅行の機運醸成を」、トラベル懇話会-コロナで世界の構図激変も

ウクライナ戦争の落としどころ

北岡伸一氏

 ロシアによるウクライナの侵略については「ロシアが一方的に悪い」と断じる一方、「西側も賢くなかった」との評価。「ロシアの安全保障感覚は独特。敵対的な国に囲われていると思っている」といい、実際に周りの国に嫌われてもいることから「攻められたら困るから国境線をなるべく遠くに置きたい。だから膨張する」とした。

 また、以前ポーランドがミサイル防衛能力を導入しようとした事例も取り上げ、「ポーランドを攻撃するつもりがないなら問題ないはずなのに、ロシアが攻撃するのを邪魔するのは敵対的だと思う、そういう勝手なことを考えるのがロシア」であると説明。そのうえで「簡単に変わるものではなく、間違っていると説教しても変わらない」ことに留意が必要と語った。

 ウクライナ戦争については、「20年ほどNATOには加盟しないということで当面の危機を避ける」案を推していたが、侵攻が始まった今は「領土の帰属は20年後に住民投票で決める」などの案で妥協点を見つけるべきとの考え。カギを握るのは米国で、ウクライナやロシアとの交渉をまとめる外交力が残っているかがポイントという。そして日本にできることは復興支援であるとした。

台湾有事リスクにどう向き合うか

 北岡氏は国連の意義や今後についても考えを披露。国連はそもそも「自前の金も力もない組織」であり元来無力であるが、「国際世論を作ること」に大きな意義があると説明。ロシアの核兵器使用を踏みとどまらせるような世論形成が重要で、日本が中心になって途上国を取り込んでいくべきと訴えた。

 このほか、台湾有事のリスクについては「中国は歴史的に、絶対に勝てる、簡単に勝てると思わない限り手は出さない国」と分析。そのうえで「もし何かあったら日本は米国と一緒に必死で戦うという姿勢を明らかにすることがむしろ平和への道」、逆に「日本と米国、台湾の足並みが揃わないのは中国が付け入る絶好のチャンス」であると訴えた。

 ただし「もちろん中国を無用に挑発するべきではない」とも語り、対話の継続が重要と断言。「独裁政権の怖いところは独裁者が間違うこと。プーチンは間違った」とし、そのうえで間違いの一因は身内から不都合な情報が上がって来なくなることであり、日中間での首脳会談は情報を直接伝える意味でも意義があるとした。