OTOA大畑会長、海外旅行需要は戻れども海外旅行ビジネスの回復には疑問、コロナ禍4年目ではなく新たな1年目のスタートへ-新春インタビュー
大畑 逆説的な言い方になりますが、そういうことです。日本のムードを変え、海外旅行を動かすためにもインバウンド誘致に力を入れる必要があります。
大畑 2025年くらいになるのでは。これは単純に需要が戻るというより、新たなビジネスモデルを確立するのには最短でもそれくらい時間が必要だと思うからです。これまでの海外旅行を支えてきた商品が、かつてのように復活することは相当難しいでしょう。仕入れの問題もあり、ビジネスモデルそのものが通用しなくなりつつあります。海外旅行分野で新たなビジネスモデルを確立する必要があります。
FITが主流になった海外旅行では、「そこへ行って何をするのか」がポイントになってきています。いわゆる旅ナカの重要性が高まっているわけですが、海外ツアーオペレーターはまさに旅ナカのプレイヤーであり、我々の活躍の機会がもっと増える時代にしなければいけないと考えています。
大畑 解体的な出直しをする覚悟だと思います。ただし新たなビジネスモデルの確立が簡単でないことは理解しています。最大の問題は人材です。しかし環境が変わってしまった現在の旅行業界で、どうやって若手人材を確保し、新しいアイデアを産み出せるのか。もしかしたら異業種からの刺激や発想が突破口になるのかもしれません。
大畑 コロナ禍の3年間、なかなかトンネルから脱出できなかった理由の1つに、政府によるロードマップの不在があると思います。回復への道筋も示されず、目指すべきターゲットも掲げられなかった。その結果、3年間をある意味無駄に過ごしてしまったのではないでしょうか。業界も明確なロードマップを示せなかったし、実際に動けなかったし、その努力を怠った面があると反省すべきだと思います。その反省に立ち、旅行業界、観光産業全体、あるいは国全体として、かなり頑張らなければ到達できないような高い目標を掲げ、皆がそれに向かって奮闘していく。そういう環境を作っていくことが回復のために必要不可欠なことだと感じています。
結論として、予測とはあくまでも現状からの推測です。今年こそ業界全体で2019年並みに戻すという、まずは意気込みや覚悟が絶対に必要不可欠だと感じています。何が何でも2023年中にコロナ禍以前の状態に戻すという業界人の信念が全てを変えるきっかけになると思います。この3年を無駄にしないよう、業界全体で頑張りましょう。