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JTB山北社長、2023年の最大のテーマは海外旅行の復活、機運醸成に注力-新春インタビュー

  • 2023年1月6日

地域開発や街づくりへの投資も積極的に
デジタル化とグローバル化の流れに対応

-2023年の新入社員はグループ全体で300名採用と発表しています。観光業全体の人気が低迷していますが、採用状況についてお聞かせください。
1988年以来35年振りとなるリブランディングで4月からコーポレートロゴを刷新する

山北 観光産業全体で人材は課題になっています。それでも新卒採用で300名は確保できる見通しです。質的にも高い人材に入社していただけると思います。リブランディングでも表現していますが、採用にあたっては、JTBはもはや旅の予約をする旅行代理店ではないことを説明する一方で、観光が生み出す力は素晴らしく、地域への経済効果も含めて、人の人生を豊かにする力があると話しています。それに共感してもらえる人材に入社していただいています。

 特徴としては、今の若い世代は地域に関心が高い人が多いと感じています。観光が地域活性の大きな力になると考えている人が多く、それは好ましい変化だと思います。私としては、観光のコアである人間の感動に寄り添えるような人になってほしいと思っています。

-社員出向についての考え方、また外部での経験をどのように活かしていくか、人材教育の観点も含め教えてください。

山北 JTBでは元々出向をポジティブに捉えています。コロナ禍前から、多くの社員が様々なDMOなどの組織・事務局に出向していますが、経費削減のためではなく、それぞれの観光政策を支えていくためです。およそ400人が地域のDMOに出向し、地域の観光資源開発に携わっています。一時凌ぎの出向ではありません。DXに資するために、テクノロジー会社に研修的な意味合いで出向した社員もいます。貴重な経験を持ち帰ってくれる社員も多くいます。社員のキャリアアップのためにも、今後も出向は続けていきたいと考えています。

 出向から帰ってくると、彼らの目線が変わると感じています。外からJTBを見ると、その良さも悪さもわかるため、大局的な視点が生まれると思います。また、経験がある人が出向先に貢献することで、観光産業全体の持続可能性にもつながっていると思っています。

-旅行業のリーディングカンパニーとして、5年後の旅行業はどのように変化していると思われますか。

山北 世の中のトレンドとして、グローバル化とデジタル化は変わらず進むと思います。若い社員と「ポスト2030プロジェクト」で議論をしているのですが、その中で4つの変化が起きると考えています。

 1つ目は、パーソナライズ化です。デジタルテクノロジーやAIの進化によって、個々のニーズのさらにその奥に踏み込んでいく可能性が高まっています。パーソナライズから、より深いウルトラパーソナライズのマーケットを作り出すことができるようになるだろうと思っています。

 2つ目としてウェルビーイングへの関心がさらに高まっていくと思っています。生活や人生が豊かになるサービスから、健康・長生き・環境といった、より根源的な欲求を満たすサービスが求められるようになってくるでしょう。

 3つ目は小集団化です。集団が小さくなると、分散化して動くことになります。例えば、組織を超えて、興味がある分野に集り、小さな集団でコミュニティを形成する傾向も強まるのではないでしょうか。旅行会社が主導して作った商品を買う時代から、小さな集団が旅行会社に商品づくりを頼むというこれまでとは逆の流れも生まれてくるかもしれません。それをインフラが支えていく時代になるのではないかと思っています。

 4つ目はボーダレス。言葉の壁も自動翻訳などの進化でさらに低くなるでしょう。モビリティもさらに発展していきます。そのため、さらにグローバルにビジネスを見ていく必要があると思っています。

-ありがとうございました。