【弁護士に聞く】販売手数料の計算基礎を全国旅行支援の割引後の旅行代金に置くのは不当ではないのか?
旅行業第3種登録の旅行業者からの質問で、ある国内旅行のホールセラーの代理販売をしたところ、通常の販売手数料率は8%で、全国旅行割を適用する場合は5%になるという。ところが、旅行代金10万円。全国旅行割額4万円(40%)として、販売手数料は、(10万-4万)×5%=3,000円と提示されたという。10万×5%=5,000円と考えるのが普通で、他のホーセラーはそうした計算をしているとして、不当ではないかという。
全ては契約で決まる
旅行業者間の販売手数料が問題となるのは、募集型企画旅行を企画・実施する旅行業者と旅行業者代理業取扱契約を結んでいる旅行業者代理業者と、募集型企画旅行取扱契約(旅行業法でいう受委託契約)を結んでいる他の旅行業者による販売代理である(この2つのケース以外で他の旅行業者から販売手数料をもらっているとすれば、旅行業法違反のおそれがあるので、要チェックである)。
したがって、販売手数料をどのような計算式で算定するかは、旅行業者代理業取扱契約又は募集型企画旅行取扱契約の中で決めるべき問題である。全国旅行支援といった一時的なイベントに際して、特別のルールを適用する場合には、覚書を交換することで対応できるが、この場合も両当事者の合意によることになる。質問者の場合も、全国旅行支援適用の旅行商品の販売手数料率が通常の8%ではなく5%になると説明しているのも、そうした合意がホールセラーとの間にあったと解される(実態はホールセラーの押付けであったとしても、異議を唱えずに従っている限りは法律的には「合意」になる)。
そこで問題は、そうした全国旅行支援に際しての特別の合意を決めなかった場合には、どのように計算すべきかである。
旅行業者代理業取扱契約にしろ、募集型企画旅行取扱契約にしろ、標準契約書式があるが、いずれも販売手数料については、「別表で定める」形式となっている(販売手数料は経済情勢によって変更する場合が少なからずあることから、別表記載にしておけば、その別表のみを変更する覚書で対応が簡単だからである)。多くは旅行代金を基準に販売手数料率を定めていることから、質問にあるように、全国旅行支援の適用のある旅行商品の場合に、販売手数料率を乗じる対象となる「旅行代金」とは本来の旅行代金を言うのか、全国旅行支援の適用の結果、消費者(旅行者)が支払う最終の旅行代金を言うのかが問題となる。
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