ハワイの「今」を駐在員の視点から-続く物価高と人手不足、高速鉄道はいよいよタウンへ
物価高と人手不足
日本のニュースでも目にすることがあるハワイの物価高や人件費の高騰ですが、誇張ではなく現実を報じており、今のところは下がるような気配もない状態です。島国ハワイの物価に大きく影響するガソリン代はピーク時より少し下がりましたが、1ガロン(約3.8リットル)が5ドル前半で高止まりしています。準じて物流コストも高止まりで、電気代に関しては来年1月から再値上げになるだろうと報道されています。
求人に関しても、あらゆる所で募集の張り紙を目にしますが、コロナ禍前には見ることがなかった高給・高待遇での募集が行われています。
生活コストで一番大きな比重を占める住宅費については、賃貸家賃は過去5年間で19%上昇しており、その内の8%が昨年から今年にかけての上昇率と報じられています。記事で一例とされていたワイキキ近隣のマキキ地区のファミリー用のコンドミニアムが月額2300ドル。恐らく単身者用になるであろう、ホノルル市が購入後に改装して低所得者用住宅として貸し出すアラワイ運河の山側にある元大学の学生寮が月額家賃1350ドルからとなっています。
尚、購入する場合、インフレ対策として金利が上昇していますので、現在の住宅ローン金利の6%で、オアフ島で販売されているコンドミニアム中央値51万ドルの物件を購入する場合、20%の頭金10万ドルを払った後、借入れ40万ドルの30年ローンの月額返済額が2400ドルになる計算です。高賃金ですが生活コストも非常に高いハワイとなっています。
ホノルル高速鉄道(HART)
全てが停滞していた2年に及んだコロナ禍中も継続していたカカアコ地区やアラモアナ地区でのコンドミニアムの建築ラッシュ。現在では、ワイキキでもナイキタウンの再開発やヒルトンの新たなタワー建設など、ホノルルの街は止まることなく更なる成長を続けています。
その中でも、数年ぶりにハワイを訪れる方が空港を出て最初に気づくのが、自動車道のフリーウェイとは別に伸びている高架道。西オアフから建設が始まった「ホノルル高速鉄道(HART)」が空港まで到達し、いよいよタウンへと向かう工事が始まっています。
公共交通機関が市バスしかなく、慢性化した交通渋滞緩和を目的としてカポレイからハワイ大学マノア校までを高速鉄道で結ぶ計画が議会で可決され工事が始まったのが約10年前の2011年。市の中心ではなく郊外から始めた鉄道建設は、アロハスタジアムまでの建設が完了して、来年初めの部分開通を目指してテスト運転も開始しています。また、アロハスタジアム~空港~ミドルストリートまでの第2工区もほぼ完成しており2025年には運輸サービス局に引き渡し予定と発表されています。
現在のプロジェクト区間「シティセンター」セクションは、ディリンハム通り沿いのミドルストリートからダウンタウン中心を通り、東端に建設される「シビックセンター駅」までとなっており、工事期間は2031年までとなっています。
空港から伸びる高架道ですが、今はディリンハム通りにある「マルカイホールセール・マート」まで進んでいます。毎年ハワイに来られる方はこれから暫く工事の進捗状況を見ながらワイキキへ移動できるでしょう。また、テスト運転はワイパフの車両基地周辺で行われていますので、プランテーションビレッジやパールハーバー周辺のゴルフ場に出かける際に試験走行中の車両に出くわすと思います。尚、ホノルル空港でも、線路が走る駐車場ビルの北側には駅も設置されていますので、待ち時間に余裕がある時には覗いてみてください。
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