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【弁護士に聞く】開始まであと1年、インボイス制度の基本と観光産業の対応

 インボイス制度(適格請求書等保存方式)が、来年10月1日から開始される。ここに「等」とあるのは適格請求書には納品書、領収書、レシート等も含み、適格請求書の他にも適格簡易請求書や一定の記載をした帳簿等の書類も保存対象に含まれるからだ。観光産業事業者も他産業と同様に大きな影響を受けることになる。

インボイス制度のおさらい

 消費税は、取引(事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供)の行われる度に、取引代金に課税され、最終的には消費者が実質的に負担することになる。その際、消費税が累積しないように、取引ごとに関与した事業者が納税義務者となる。

 例えば、旅行業でいえば、旅行会社が旅館から部屋を8800円(内消費税800円)で仕入れて、顧客に募集型企画旅行(単品宿泊商品)ということで1万1000円(内消費税1000円)で販売したとしよう。旅行会社は、顧客から収受した消費税分1000円から仕入れた部屋代の消費税分800円(仕入税額)を差し引いた(控除した)200円を納税することになる。旅館は旅館で、旅行会社から収受した消費税分800円から仕入れた食材代金、清掃業者への清掃代等に係る消費税分を差し引いた額を納税することになる。

 これまでは、各事業者の発行する請求書なり領収書で仕入れ税額を計算して控除するこが認められてきたが、来年10月1日以降の取引については、原則、仕入れ先事業者の発行する適格請求書(電磁的記録も可)がなければ控除できないことになる。ここで、「原則」というのは、公共輸送機関を利用した交通費やスーパー等で購入した商品等についてまで、適格請求書を求めるのは無理なので、前者については3万円未満であれば法定の記載事項を備えた帳簿への記帳で、後者についてはスーパーの法定の記載事項を備えたレシート(適格簡易請求書と呼ばれる)で、控除が認められるという例外がいくつかあるからである。

 つまり、「適格」とは「仕入税額控除を受けられる資格」という意味で、納税地を所轄する税務署に適格請求書を発行する旨の登録を行い、適格請求書発行事業者としての登録番号をもらう必要がある。

 適格請求書の書式は法定されたものはなく、以下の記載があれば自由に作れる。

(1)適格請求書発行事業者の氏名又は名称と登録番号
(2)取引年月日
(3)取引内容(軽減税率対象品目の場合はその旨)
(4)税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)と適用税率(レシート等の適格簡易請求書では適用税率は不要)
(5)税率ごとに区分した消費税額(適格簡易請求書では適用税率でも可)
(6)交付を受ける事業者の氏名又は名称(適格簡易請求書では不要)

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