業界ニュースを振り返る ー 5年後旅行会社が生き残る方法

  • 2022年10月21日

 今回一番私が触れたいのは、週間ランキング2位の旅行産業経営塾OB会シンポジウムです。

 この記事に関してはいくつか論点のポイントがあります。まず1つは「コロナで旅行会社は大いに信用を失墜した」というところ。これはプロコメの岡田氏が「議論の分かれるところ」と仰っておられまして、私はその上で「信用は失墜した」派です。これはGoToでの不正を考えたら信用はなくなるのみですし、特段他に業界が信用を得るようなこともなかったと思います。

 次に紙パンフレットの廃止に関しては、店舗型旅行会社におく紙パンフレットは必須だと考えています。なぜなら、紙パンフレットを不要と考えるような人のほとんどはまずネットで予約し、店舗には来ないだろうと想像しているからです。自分でホテルと航空券をOTAや各ウェブサイトで予約し、自分で旅先で行きたいところが決められるような人とは違う客層を取り込むための紙パンフレットだと思っているので、ネット予約に特化しない限り紙パンフレットは必要だと考えています。

 そして、一番みなさんにも思うところあろう「5年後旅行会社は不要になるのか」ですが、これは「新しい旅行会社(OTA)を設立して5年後に黒字化」をテーマにしたグループが出した答えがほぼ全てだと思っていて「離島や米軍基地など旅行会社経由ではないと手配できないユニークベニューを提供」するが数少ない正解ではないだろうかと思っています。島川氏が上げられたような「ぐるなび」や「小さなお葬式」とは旅行会社は状態が違っていると思っていて、サービスに大差がない旅行素材や組み合わせを提供していても手数料を是として取らせてくれるお客さんがそんなにいるとは思えません。「旅行会社は履歴を覚えていてくれるリアルな人がいる」といって上げられた際に例として出された電気屋さんの話も、現代であればCRMなどのシステムで自動化できるであろうことは想像が付きます。一人二人が食べていく規模であれば生き残る余地もあるかも知れませんが、あまりにも低いところに限界があるでしょう。

 その点、旅行会社経由でなければ行けないツアーというのはストロングポイントが明確です。これくらいのことができなければ旅行会社に生き残る余地はないと個人的には思っています。少なくとも、旅行会社の数がこのまま生き残るのは、随分難しい状況でしょう。