地域に分け入るJAL社員たち~山口県・後編~
山口県・後編は秋吉台や秋芳洞で知られる美祢市。市ではアクティビティの充実に向けて4月からトゥクトゥクのレンタルサービスを開始し、その動きは全国の観光地からも注目されている。番外編では、本紙で21年7月に取材した、美祢市観光協会のその後の取り組みも紹介する。
山口県美祢市
観光商工部 観光政策課 今西光孝さん
美祢市は、山口県の中心部にあり、近隣の下関市、長門市、山口市へのアクセスが良く、周遊観光に適しています。大自然を活かした体験型コンテンツが多い中、おすすめしたい観光素材は、天然記念物にも指定されている景清洞です。入口から700m続く「観光コース」は、道がフラットなため車いすで入洞でき、洞窟の奥には、大人から子供まで楽しめる400mの真っ暗な「探検コース」があります。
他には、4月から美祢市観光協会で開始したトゥクトゥクのレンタルサービスです。秋吉台の大自然の風や匂いを体感でき、家族や友人と非日常体験ができます。※将来的に電動トゥクトゥクの導入を検討中
人口減少、担い手不足、二次交通、観光施設の老朽化等の地方特有の課題はあります。美祢が選ばれる観光地になるには、既存の観光素材(秋芳洞や秋吉台)に付加価値を付け「美祢に人が訪れる動機」を作ることが重要です。具体的な取り組みとして、トゥクトゥクのレンタル事業拡大や、ジオガイド(認定を受けた地元のガイド)ツアーの首都圏やインバウンド向けの販路を拡大し、秋芳洞を始めとした観光地への交流人口増を実現したいです。行政の業務は、国や県、他市との連携事業も多く、事業のスクラップ&ビルドは簡単ではありません。外部からの視点で忖度なく意見を提案し、既存事業も改善しながら、美祢の価値を上げる事業を職員と共に進めていきたいです。
観光商工部 観光政策課 課長 河村充展さん
1990年美祢市役所入庁。広報担当や商工、障害福祉、高齢福祉、教育行政に従事し、2022年4月から観光商工部観光政策課に配属されました。 商工労働課時代に第三セクターの運営支援に携わった経験が、企業会計となった観光事業会計に役立っていると実感する今日この頃です。秋芳洞入洞者数に一喜一憂しながら、何か面白いこと出来ないかなぁと、日々悩み続けています。 |
美祢市と言えば、秋吉台や秋芳洞がメジャーな観光資源ですが、秋吉台をセグウェイに乗り、ひと味違った散策を行うのがお薦めです。インストラクターによる講習もセットで、初心者でも安心して乗ることができますよ。
日本名水百選に選定された「別府弁天池」も自然美あふれる名所です。透き通ったブルーの水が不思議なほどの美しさを見せる、透明度の高い弁天池。この水は、併設の養鱒場にも利用しています。きれいな水で育ったニジマスは臭みもなく、直売所で販売されている「ますバーガー」や「長寿サンド」は絶品です。
その他、美祢の美味いが一堂に会した「MineCollection」通称ミネコレ、芳醇な秋芳梨や大粒で甘い厚保くり、風味豊かな美東ごぼうなどなど、是非一度御賞味あれ。
200万人をピークに、40年間少しずつ減少している秋芳洞の入洞者数、コロナの影響により、令和2年度は21万7000人、令和3年度は23万3000人と、かつての1割程度まで落ち込んでいます。観光事業の再生は、観光政策課の至上命題。関連施設の老朽化、廃業した宿泊施設への誘致、洞内の照明植生対策等、課題は山積みです。
今西主幹には、このうちの宿泊施設への誘致活動や各種事業の効果測定、観光協会のDMO取得支援業務等に携わってもらっています。JAL営業マンとして培った知識や経験を基に交渉する姿、また、時には厳しい切り口で対応する姿は頼もしい限りです。これからも失敗を恐れることなく、何事にも前向きにチャレンジしてもらいたいと思っています。
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