札幌クリエイティブホテルアライアンスが初のイベント開催、気鋭の若手3人が描く「コンセプチュアルなホテル」とは

  • 2022年9月27日

 7月に札幌市内8つのホテルにより立ち上げられた「Sapporo Creative Hotel Alliance(札幌クリエイティブホテルアライアンス)」が9月7日、設立後初となるイベント「Let's talk about hotels」をUNWIND HOTEL&BAR 札幌で開催した。メインコンテンツのパネルディスカッションには、独自のホテルプロデュースや運営に注目が集まる若手経営者3名が登壇し、「新時代におけるコンセプチュアルなホテルの創り方」をテーマに魅力的なホテルづくりのポイントを語った。

左から、グローバルエージェンツ代表取締役 山崎剛氏、水星/CHILLNN代表 龍崎翔子氏、Linnas Design代表取締役  松下秋裕氏。UNWIND HOTEL&BAR 札幌にて

 イベントの冒頭では、代表を務めるザ ロイヤルパーク キャンパス 札幌大通公園総支配人の神田典子氏が、アライアンス設立の背景や今後の活動を紹介。「札幌市内に個性的なライフスタイルホテルが増えてきている一方、お客様にとって宿泊特化型のホテルはビジネスホテルと同じ”泊まるだけ”の場所と見られがちであるというギャップを感じた」といい、「観光都市・札幌として食や自然という魅力はもちろん、国際的な文化イベントや魅力的なカルチャー、ユニークベニューも多くある。それらの魅力とライフスタイルホテルでの滞在を融合することで、夜をこの街で過ごしていただくことに繋げていきたい」と抱負を語った。

【パネリスト】
水星/CHILLNN代表 龍崎翔子氏
Linnas Design代表取締役 松下秋裕氏
グローバルエージェンツ代表取締役 山崎剛氏

【ファシリテーター】
グローバルエージェンツ 濱田佳菜氏

スタッフの働き方にまつわる課題

 濱田氏からの最初の質問は、「ホテルで働くスタッフへの対応に関する課題」。龍崎氏は「お客様には多くの選択肢から自分にフィットするものを選んでほしいという思いを込めてホテルづくりをしている一方で、働いてくれているスタッフには多くの選択肢を用意できていなかった」ことだと答えた。「どうしても早朝や夜遅いシフトが発生する。若いうちはよくても、結婚・出産などのライフステージの変化があると、この業界は好きだが続けられないという人が出てくる危機感はある。若い会社なのでこれまでは従来の働き方でやってこられたが、今後は松下氏が運営するLINNAS Kanazawaのモデルに追随したいと考えている」という。

松下氏

 これに対し松下氏が、LINNAS Kanazawaのフロントで導入している「スタッフアワー」の仕組みを説明。同施設では、9時から18時の1シフトで回せる時間帯のみフロントスタッフを配置し、それ以外は宿泊者がタブレットを操作して自身でチェックインを行う。ルームキーも暗証番号式にして鍵の受け渡しを省いた。コロナ禍中の21年4月のオープンで、抜本的な梃入れが必要と考え決断したが、自社サイトやOTAの予約ページなどにも明記していることもあり、クレームもほとんどないという。龍崎氏が「オープンスペースでPC作業をしているとお茶を持ってきてくれたりと、LINNAS Kanazawaのホスピタリティはとても高いと感じる。限られた時間のなかでどのように良いサービスをしているのか?」と尋ねると、松下氏は「確率の問題」と回答。「お客様全員に想像を超えるサービスを提供するのは難しいが、どう打率を上げるかを意識している。連泊をテーマにした宿でもあるので、滞在中どこかではコミュニケーションの機会があると考え、スタッフアワーの時間帯にサービスを全集中するスタイルだ」と説明した。

 一方、山崎氏は「グローバルエージェンツ運営のホテルは24時間シフトにしているが、ルーティンや事務作業に手を取られることが多かった」と答えた。「既存のシステムの利用をやめ、PMSやモバイルアクセス、ルームサービスにも対応した自社システムを開発することにより、自社に最適なスタイルでのDX化を実現した。在宅でできる業務を増やしたり、捻出した時間を企画考案に充てられるようにしたりと、よりフレキシブルな働き方が可能になった」(山崎氏)。

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