【ホテル総支配人リレーインタビュー】第16回 ANAインターコンチネンタル石垣リゾート 総支配人 秋間友氏
ホテル業界が取り組むべき人材問題
本気で待遇改善を図らなければ未来はない
第15回のヒルトン沖縄北谷リゾート・ダブルツリーbyヒルトン沖縄北谷リゾートの宍倉裕統括総支配人からバトンを渡されたのは、ANAインターコンチネンタル石垣リゾート総支配人の秋間友氏。30代の若さで東京のラグジュアリーホテルの総支配人を務めた同氏が、2020年8月に石垣島へ赴任。コロナ禍中の困難な環境下でホテルビジネスの未来を切り開くため、離島で模索を続ける秋間氏の言葉の1つ1つが熱を帯びる。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)
秋間友氏(以下敬称略) 2020年8月にANAインターコンチネンタル石垣リゾートに赴任しました。当初は短期間でのサポート役という形でしたが、ご縁があり、総支配人として着任し2年が経とうとしています。それまでは東京・品川のストリングスホテル東京インターコンチネンタルの総支配人を務めていました。総支配人就任時に36歳だったので、年齢の若さを話題にされることも少なくありませんでした。
ホテルの仕事に興味を持ったきっかけは、中学生時代に観たTVドラマ『HOTEL』で、ホテリエの姿に憧れたこと。2006年に大学を卒業し、ウエスティンホテル東京に入社しました。2年間サービス現場で働いた後、営業を学ぶため転属を申し出たものの当分は難しいとの回答だったので、2008年にヒルトン東京に転職しセールスアシスタントの職を得ました。以降は2017年までヒルトン東京に勤務し最後は営業部長を務めました。
そこからストリングスホテル東京インターコンチネンタルに移り、営業推進担当副総支配人としてセールスレベニューマネージメントの責任者を務めた後、総支配人となりました。
秋間 2020年には、既存の本館(2棟)とは別に新しく「クラブインターコンチネンタル」(1棟)と「ベイウィング」(2棟)を開業し、東京ドームの約6倍の敷地に立つホテル棟は現在5棟です。客室数も255室から458室へと増えました。航空座席に例えると本館がエコノミークラス、「ベイウィング」がビジネスクラス、「クラブインターコンチネンタル」がファーストクラスです。1つのリゾートで、この3つのカテゴリーを販売できるのは大きな特徴です。
秋間 そうですね。ハイエンドのお客様から、プールに子供が多すぎるといったご意見が寄せられることもあります。お客様によって求めるものや期待するものが違い、差が出る点が難しいところです。またリゾートでの滞在の仕方も違います。オンシーズンの夏には1泊10万円ほどの「ベイウィング」や1泊20万円ほどの「クラブインターコンチネンタル」では、プールサイドで日がな読書といったスタイルを好まれるお客様も多く、昼間はレンタカーで観光スポット巡りといった過ごし方とは一線を画します。そうした方々にリゾート内で十分に満足していただけるサービスを提供するという意味では、まだ我々は発展途上かもしれません。
秋間 コロナ禍中に新棟が開業し客室数も約2倍に増えたため単純比較は難しいですね。今年は平均稼働率が昨対比+30%を見込んでいましたが、まん延防止等重点措置が1月と2月にあったため、やや切りそうです。とはいえ、昨年と比べ、行動制限のない今夏は、客室単価を上げながらも満室の日が続くこともあり、今年はだいぶ改善しています。
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