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【弁護士に聞く】「ステマ」が違法となるとき

「ステマ」の問題性

 このことは、ステマの一番の問題点をとらえている。ステマでは、消費者は広告とは思わずに、眉に唾して警戒することもなく、素直に読んでしまい、その内容を信じてしまうおそれが強い。そのため、特定の商品やサービスにつき、多少実際のものより優良(ステマでは取引条件の有利な表示というのは余り考えられない)な表現を使うと、消費者は額面通りに理解してしまうために、「著しく」のハードルを簡単に超えてしまう危険をもっている。

 特に、観光産業の広告では、運送や宿泊のサービスだけでなく、デスティネーションの素晴らしさといった点も顧客誘引に有効であり、かつ、かなり主観的要素が強いので、芸能人等を使っての利益提供型のステマにのりやすい。

 ステマが不当表示と認定されたときには、ステマを直ちに停止し、そのステマをしたことの謝罪広告を行う等の措置命令を受けるうえに、ステマを継続していた期間の売上の3%相当額の納付を求める課徴金納付命令を受けることになり、事業者としては大打撃となる。不当表示とまでの認定をされない場合でも、ステマをしていたことは前記日弁連の意見書にあるような非難の的となり、事業者のレピュテーションは地に墜ちる。

 ステマはその意味でハイリスク・ローリターンのマーケッティングと言わざるを得ない。

 因みに、消費者庁は今年の3月から有識者からなる景品表示法検討会を開催し、同法の見直しをしている。「ステマ全般に対する規制は最重要課題の一つ」とされ同会の議論の対象となるとされている。同会は年内を目途に報告書をとりまとめるとのことなので、改めて本欄でもとりあげたい。


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三浦雅生 弁護士
75年司法試験合格。76年明治大学法学部卒業。78年東京弁護士会に弁護士登録。91年に社団法人日本旅行業協会(JATA)「90年代の旅行業法制を考える会」、92年に運輸省「旅行業務適正化対策研究会」、93年に運輸省「旅行業問題研究会」、02年に国土交通省「旅行業法等検討懇談会」の各委員を歴任。15年2月観光庁「OTAガイドライン策定検討委員会」委員、同年11月国土交通省・厚生労働省「「民泊サービス」のあり方に関する検討会」委員、16年1月国土交通省「軽井沢バス事故対策検討委員会」委員、同年10月観光庁「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」委員、17年6月新宿区民泊問題対策検討会議副議長、世田谷区民泊検討委員会委員長に各就任。