【弁護士に聞く】「ステマ」が違法となるとき
「ステマ」とは、「ステルスマーケッティング」の略語である。「ステルス」とはレーダーで捉えにくいステルス戦闘機のステルスである。つまり、一般消費者には広告と気づかせない方法(ステルス)で商品やサービスの広告を行い販売する手法を指す。ステマには、事業者が利用者を装って自社の商品やサービスを高く評価する表示をするもの(なりすまし型)と事業者が著名人等に金銭その他の経済的利益を提供しながら、それを秘して表示させるもの(利益提供型)の2つがあるとされている。ここまで読むと、多くの人は「ステマ」とは何とあざとい手口かと思われるだろう。
実際、日本弁護士連合会の2017年2月16日付け「ステルスマーケッティングの規制に関する意見書」は、表示された内容に関係なく、「その表示が中立な第三者の意見であるかのように誤認されるならば、消費者の合理的な選択が阻害されてしまうおそれがある」として規制すべきという。
しかし、一般的には「ステマ」であっても、その内容が正確に商品やサービスの内容を表示説明しているものであれば、それを信じて購入した消費者は損害を被るものではないから違法とまでは言えないだろう。
有利誤認と優良誤認に「著しく」のつく理由
広告表示を規制する不当景品類及び不当表示防止法(景表法)は、実際のもの等よりも「著しく優良であると示す表示」と「著しく有利であると誤認される表示」を不当表示として禁止している(第5条)。単なる優良誤認表示又は有利誤認表示では足らず、それが「著しく」なければ不当表示にはならないことになる。これは、日本国憲法で表現の自由が保障されており、広告表示も表現の一種であるから、ある程度のオーバーな表現も広告であれば表現の自由の範囲内として許容しているのである。
ここで重要なのは、「広告であれば」という前提である。週刊誌を読んでいると、特定の商品を高く評価することを書いているページがあり、妙だなと思って良く見るとページ下に「広告の頁」といった表示があって、合点がいくということがある。広告は、消費者を誘引するための表示なので、多少ともオーバーな表現が使われがちであるが、広告であることを知っていれば、消費者も眉に唾して読むので、結局はそのオーバーな表現のもつメッセージも穏当なところに落ち着くのである。
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