「銀行はこう使え!」-メガバンク元営業担当が本気のアドバイス vol.3
第3回:銀行の活用法
銀行が間接的に扱うソリューションー使い分けが肝心!
前述の通り銀行が窓口となって取り扱うソリューションは多岐に渡りますが、必要なサービスを見極めたら早々に各社の担当につないでもらうのが賢い使い方です。ここでは銀行員時代に問い合わせの多かった案件をご紹介します。
その1 不動産業務 不動産は事業承継のコンサルティング的観点からも有力なソリューションであるため、銀行も非常に力を入れています。その背景には、1%を切る利率の利息収入よりも物件価格の数%を手数料収受できる不動産売買の方が効率が良いため、何としても買わせたい、売らせたいという思惑があります。
とりわけコンサル目線が入るときは、会社の株価を下げるためや相続税対策として不動産購入が推されますが、銀行主導の場合は買うことにばかり目が行ってしまい、その後の運用が疎かになりがちなので注意が必要です。また承継関係では遺言信託などにも注力していますが、長年事業をされてきた方には親しい税理士の先生もいると思いますので、まずはそちらに相談してみることをお薦めします。
その2 資産運用 「元本割れは嫌だけれど、数%の利回りで運用したい」という方がいらっしゃいますが、残念ながらバブル時代とは違いそんな商品はありません。運用には当然リスクが伴いますし、銀行も証券会社も損失を補填してはくれませんので、必ず自分で考えて決断する必要があります。
証券会社であればリスク許容度に応じて利回りを確保できる商品がありますから、しっかりと証券の担当者と会話し、リスクを熟知した上で取組む分には効果的だと思います。
その3 リース・保険 銀行では節税対策としてオペレーティング・リースや保険を勧めますが、あくまでも利益の繰延べで効果も限定的なので、個人的には魅力ある商品とは思えません。リースや保険が必要になった際は、銀行のセールスから導入を検討する場合も、複数社に接点を持ってコストや内容を比較してみてください。
今回は銀行がどんな場面で役立つかを考えました。繰り返しになりますが、一番大切なのは依頼する側が主体的に動いて情報を集め、判断することです。経営方針に「お客様に寄り添う」的な文言を入れなければならないほど顧客目線の欠如した集団ですから、銀行都合の提案に騙されないよう知識武装するに越したことはありません。とはいえ、案件化するまでは基本的に無償で動いてくれますし、情報やノウハウは豊富ですので、便利に使っていくべきでしょう。 次回は銀行審査のマニアックな部分について触れていきたいと思います。