エア・カナダ、業務渡航や上級クラスに手応え、ワイス氏&伊藤氏インタビュー
5年でアジア太平洋線が6割増
新型コロナも業界と協力しV字回復めざす
伊藤 昨年初めて様々な業態の旅行会社にアンケートを実施し、ACとして「売りやすさ」の面で改善の余地があると分かった。販売サイドの都合で旅行会社に合わせてもらうのではなく、お互いの生産性を上げるために協調していくことが大事になってくる。売りやすい環境を構築して結果を出し、それを次のビジネスに繋げてくプロセスを確立していく必要があるだろう。
ワイス OTAについては、コミッション率の課題はあるが、ウェブサイトからの直販と同様に、旅行者が個別で航空券を買える環境を整える意味で協力してやっていきたい。旅行会社との関係では、需要がありそうなデスティネーションについて市場動向のヒアリングをし、ACのネットワークでの取り込みを強化していく。
また、料金については、需要が高いときにいい料金で売れる航空券をタイムリーに出していく。間際のお客様はOTAやウェブサイトで取り込み、旅行会社に対しては数ヶ月先の需要に合わせた料金を提供して商品化してもらう。
伊藤 デスティネーションの多様化などで、旅行商品の価値が揺らいでいると思う。しかし、カナダについて言えば、旅行会社の企画力や現地オペレーターの力は不可欠だ。米国で受け入れをやっていた経験から、現地でいかにお客様に喜んでもらうかが原点だと考えている。満足度が高くなる商品を売っていくことが大切だろう。
OTAなどネットでさまざまな予約を完了する人もいるが、一方で安心感を求めて店舗を訪れる人もいる。ACとしても流通ごとに販売の手法をスピード感を持って変えていかなければいけない。そうしなければ、カナダというデスティネーションの力にも影響していくのではないか。
ワイス 全日空(NH)とのJVについては、本社で議論にはなったものの、現在は2018年に立ち上がったエア・チャイナ(CA)とのJVを成功させることが優先事項になっている。
ワイス 現在中国路線は運休していて、香港線についてもトロント線を運休しバンクーバー線のみになっている。日本路線については、需要に合わせて減便や機材小型化の必要性はあるが飛び続ける。タイミングをみながらしっかりと需要喚起をしていきたい。
伊藤 旅行会社の状況も注視していかなければならないが、2003年のSARSのときと比べると情報量が違いリカバリーのスピードも早いはず。夏以降ではV字回復のチャンスもあるのではと期待している。その時のために、観光局や旅行会社と一緒にカナダの正しいメッセージを発信していく。
ワイス カナダも海外からの渡航制限を今週から始めたため、落ち着くまでは減便、新たな安全対策への取り組み、ビジネスの見直しなどに対応していかなくてはならないが、エア・カナダはリカバリーに向けての準備を本社レベルでも着実に始めている。大きな回復に向けて旅行業界の皆様としっかりと手綱を取っていきたいと考えている。この難しい局面での旅行会社の方々の協力に心より感謝している。