ファストリなど3社のBTM成功事例を紹介-出張経費の最適化とは
東洋経済新報社とコンカーがセミナー共催
中外製薬、ヨネックスからも担当者登壇
「パーフェクトトリップ・ネットワーク」を提唱
以上の課題と企業が打つべき施策を踏まえて、三村氏は「パーフェクトトリップ・ネットワーク」と題した構想を提唱した。コンカーが必要なデータを一元的につなぎネットワーク化するもので、パートナー、オープンプラットフォーム、トラベルコンテンツパートナー、コンカーのクラウドサービスの4つで構成し、パートナーにはGDSを含む。オープンプラットフォームに関してはUber や、「グローバルWiFi」を提供するビジョンなどが参画しており、そのほかにもさまざまなトラベルコンテンツパートナーとデータを交換しているという。
そして、コンカーのクラウドサービスでは、予約ツールの「コンカートラベル」、経費精算の「コンカーエクスペンス」、分析機能の「ビジネス・インテリジェンス」、アプリの「TripIt」を提供。三村氏は「パーフェクトトリップ・ネットワークによって、出張の前・中・後を一元的に、1つのプロセスのようにつなげるができる」と強調して締めくくった。
ファーストリテイリング、導入1年目で数千万円のコスト削減
コンカーのプロダクトの導入事例については、最初にファーストリテイリング事業構造改革部リーダーの安達貴裕氏が取り組みを紹介。同社では昨年度から国内出張のマネジメント改革に着手し、今年度から「コンカートラベル」で海外出張管理を始めたことを説明した。今後の計画としては20年をグローバルBTMの本格開始の年と位置づけ、航空会社やホテルとのグローバル契約交渉をスタート。21年頃には戦略的パートナーを再選定し、22年に「世界一のBTMチーム」を作ることを目標として掲げているという。
安達氏は1年目の成果として「エコノミークラスの予約クラスは大きく低下し、数千万円のコスト削減に成功した。また、最安値機能により外資系航空会社の利用も大きく進んだ」と説明。その上で今後については「出張の多い主要路線では、幅広い航空会社と契約を締結していきたい」と方針を語った。
さらに、旅程管理や精算の簡素化に加えて、社員の健康管理の重要性についても言及。今後のコンカートラベルの活用に向けては、出張時に最大限の能力を発揮できるよう、出張者が無理なスケジュールでの出張を計画した時にはアラートが出るような機能などを要望した。
中外製薬、BTMのカギは「クロスファンクショナルチーム」
中外製薬購買部商材マネジメント1グループのグループマネジャーを務める福岡耕太氏はプレゼンテーションの冒頭で、同社の経費削減に対する考えについて説明。「購買部はプロフィットセンターとして位置づけている。1億円の売上高と1億円の経費削減は同じこと」と述べた上で、同社のBTM 体制においては、関連する各部署の担当者に経営陣を加えた「クロスファンクショナルチーム」がカギになっていると説明した。
福岡氏によれば、同社はスイスの大手医薬品メーカーのロシュグループの傘下企業として、グローバルでのサプライヤーマネージメントを推進しており、今年1月にコンカーエクスペンス、コンカートラベル、コンカーインテリジェンスをまとめて導入。「その成果は上がっており、今年は3000万円くらいの削減につながるのでは」という。
そのほか、購買部については「ビジネスとサプライヤーの中立的な立場として、両者をつなぐハブになる」と説明し、重要な視点として「コンプライアンス」「ガバナンス」「イノベーション」などを列挙。特に「コンプライアンス」については、親会社のロシュに続いて同社も「グローバルコンプライアンス」の観点に基づき、サプライヤーの選定を厳格化する方針を示した。