トルコ・エスキシェヒル、新たな観光デスティネーションとして高い潜在力

  • 2019年10月8日

隈研吾氏設計「OMM」もオープン
フリギア渓谷の商品開発で日本人分散化を

トルコ観光大臣、日本/トルコ間の航空網拡大に大きな期待

(上から)エルソイ文化観光大臣、メルジャン駐日トルコ大使

 OMMのオープニングセレモニーに合わせて、文化観光大臣のトルコのメフメット・ヌリ・エルソイ氏と駐日トルコ大使のハサン・ムラット・メルジャン氏が日本メディア向けに記者会見も実施。そのなかで、エルソイ氏は、新たな観光プロモーション組織として、民営企業の「トルコ・プロモーション・エージェンシー」を立ち上げたことを明らかにした。今後は、日本市場も含め観光政策の立案を観光局でおこない、エージェンシーは観光客誘致に向けた具体的なプロモーション活動を実施していく。

 また、来春に予定されている羽田線の開設、成田線の増便、関空線の復便についても大きな期待を表明。「2023年にインバウンド観光客7500万人をめざすトルコにとって、アジアからの誘客において日本は欠かせないマーケット」と述べ、日本市場に向けては、これまでの歴史的素材だけでなく、OMMを含めた「トルコの文化芸術を訴求していきたい」と意欲を示した。

エスキシェヒルは温泉が湧出することでも有名。ポリメックスが運営する「タシゴ・ホテルズ・エスキシェヒル・バーデムリック・テルマル」でも温泉プールやスパを楽しむことができる さらに、日本/トルコ間で大幅に増加する航空座席を維持する方策としてエルソイ氏は新しいデスティネーション開発の必要性についても言及。現在イスタンブールとカッパドキアに集中している需要を分散化していくためにも、「各地域の観光素材を調査し、どのマーケットにどの素材をアピールしていくかを考えていく」と話し、ターゲットを絞ったプロモーションを進めていく考えを示した。

 そのうえでメルジャン氏は、エスキシェヒル選挙区から国民議会議員に選出された経歴を持つことから、エスキシェヒルを中心としたアナトリア地方の観光素材を紹介。そのなかでも、「他のデスティネーションの競合のなかで、(OMMを含めて)エスキシェヒルのアートは大きな役割を果たしている」とアピールした。

OMMの目玉は、竹アーティストの四代目田辺竹雲斎氏の手による巨大な作品。パートナーや地元の人たちの力も借りながら2週間かけて完成させた

 また、日本の外務省は東部トルコの一部への危険情報(レベル1~4)を継続しているが、メルジャン大使は「エスキシェヒルをはじめとするアナトリアや中部、西部に対して危険情報は発出されておらず、安全に観光を楽しむことができる」と強調した。

 なお、日本でのプロモーションの方向性については、「短期的には旅行会社やツアーオペレーター向けにワークショップなどを実施し、中長期的にはSNSなどのデジタル、雑誌、TVなどで露出していきたい」(エルソイ氏)考え。BtoCだけでなくBtoBでの取り組みにも力を入れていく方針だ。

ヤジリカヤの「40室の部屋」。ひとつの生命体のような奇岩でそれ自体がユニークだが、この地で積み重ねられた歴史も感じられる

 2018年のトルコへの日本人旅行者数は8万6000人。 エルソイ氏は2019年について11万2000人にまで増加する見込みを明かしたうえで、「過去には年間20万人の日本人を訪れていた。潜在的には50万人の需要があると思っている」と将来への展望を示した。