エアプラス、平成の30年間と歩んだ「純国産OTA」の新展開は

日本人FITに焦点、BtoBプラットフォーム事業も
他社との「部分的共存」で生き残りへ

-近年は国内のリアルエージェントもウェブ販売を強化しています
岡田氏 岡田 最強のツールといえるスマートフォンを1人1台持ち歩くような状況を、30年前の創業時には想像もしなかった。しかし昔から旅行業を営んでいる大手リアルエージェントは、ほぼフォーマットを変えずにこの時代を迎えていて、旅行業法も変わっていない。自社で在庫を持ち、ツアーを造成して、店舗で売るという仕組みの旅行会社が、そのまま次の時代を乗り切るのは容易ではない。ウェブへの投資は必要だが、闇雲に投資してもうまくはいかないだろう。

 インターネットの基本的な考え方は「分散型の管理」で、企業が自社の仕組みを構築するには、より優れた機能を持つ会社とのアライアンスが必須だろう。ウェブサービスは変化が激しく、どんどん新しい技術が出てくるので、閉鎖型のシステムではとても対応できない。色々なサードパーティーと組んでいかないと、生き残れないのではないか。競合というよりも「部分的な共存」という考え方とも言える。

 当社も自社エンジンを開発した時から、自社だけで機能するものではなく、スケーラブル(拡張可能)に使えるシステムの開発を進めてきた。また、プラットフォーム化して他の旅行会社にも提供できるビジネスを前提としてきた。

-今後のIT投資の方向性をお聞かせください

岡田 FIT商品を前提とした投資から離れることはない。当社の基本的なスタンスは、単品あるいは単品を組み合わせたダイナミックパッケージを、便利に買いやすくするところに投資をしていく。

 今後、日本は未曾有の超高齢化、人口減少社会となる。深刻な労働力減少社会となるなかで持続可能な企業体質を作ることは、すべての業界に共通の課題だ。ビッグデータやAIの活用、あるいはブロックチェーンを活用した精算など、新たな時代の基礎的なインフラとなるべき技術を見極めて、身の丈にあった投資をしていくために、常に情報収集していくことが重要だろう。旅行業界外に向けてアンテナを立て、いろいろな交流をしていくことが、旅行業界のためにもなるし、旅行者のためにもなるのではないかと思う。

-IATAが普及をめざすNDCへの対応状況と方針はいかがでしょうか

岡田 すでに対応を進める航空会社やアグリゲーターとの意見交換は始めているが、航空会社が提供する情報を不定形に並べても、エンドユーザーは混乱するだけだろう。航空会社から出てくるものを見定めなければ、逆に自分たちのサービスの質を落としかねない。ある程度NDCコンテンツが揃ったところで、当社のインターフェイスを考えていく。

-ありがとうございました