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ソニーコーポレートサービス部長が考えるインハウスの価値と未来、BTMのあり方

インハウスの価値とは何だとお考えでしょう

吉原 親会社にとってインハウスの価値はコストの削減だ。インハウスを大手旅行会社に売却する会社もあるようだが、もし、手数料の削減や人件費が理由なのであれば合理性に欠くように思う。

 当部の場合、人件費と、その人件費をかけて達成している調達のコストダウン額を比較すれば、コストダウン額の方がはるかに大きく、手数料の多寡を問題にするのは木を見て森を見ずの議論になる。いずれにしても、コスト削減効果を見える化していくことが大切だと考えている。

 また、購買とオペレーションを完全に分けてしまうと、購買側とオペレーション側との協働作業があるからこそ成し遂げられるコスト削減施策が見えなくなる恐れがある。旅行に関する契約の効用は、契約しただけではなく、一件一件の手配を契約の意図に沿って積み上げていくことで初めて享受できる。

 これは契約の相手方であるサプライヤー各社の皆様にとっても一番の関心事であるはずなので、契約の意図に沿った購買を実行するオペレーションは非常に重要な役割を担っていると思う。

仕入れの考え方をお聞かせください

吉原 いい条件は、客としての総ボリュームに比例して得られるという単純なものではない。繰り返しになるが、大切なのは仕入れ自体ではなく、仕入れた後に契約の意図に沿って「契約を履行する」ことで、そこが旅行会社としての役割だと思っている。

 実際にどれくらい乗ってくれたか、泊まってくれたかが先方にとっては重要な関心事で、一つひとつの出張を契約の意図に沿って完結させることでサプライヤーの皆様との信頼関係を築くことができる。

「約束を守る」ための課題はどのようなものでしょうか

吉原 推奨航空会社や推奨フライトがある場合に出張者が別のフライトを希望する、といったケースは多々ある。

 正当な理由があれば別だが、その正当性をはっきりさせていくという作業は泥臭いプロセスだ。自分が出張者だった時は煩わしいと思っていたが、それをやりきるかが重要になる。

  一方、ホテルについては、都市別の宿泊ボリューム自体が把握できていない状況にあり、サプライヤーの皆様とのボリュームに関する具体的な話ができず、航空券の場合と比較して大きく遅れている状況にある。

現地法人などでの業務渡航はどのように取り扱われているのでしょうか

吉原 アメリカは在米のインハウス、ヨーロッパはサードパーティーの別会社、など地域によって別々の形をとっている。

 グローバルTMCの活用という選択肢が話題に上るが、買い手の立場として重要なのは、グローバルなデータベースの構築と契約の意図に沿ったオペレーションを各地域でおこなうこと。こだわるべきはこの2点であって、TMCを揃えることがポイントではないと思う。