出国税、しくじらない旅行者への説明方法は-JATAに聞く
会員企業向けに2つの説明文案
現場の負担を最小化するには
▽「○月○日」は1月下旬?-大手の多くは案2を採用
JATAの出国税に対する考え方のポイントをまとめると「現場のスタッフをしっかりと指導し、旅行者には新税導入について充分に説明」「(各社が設定する)○月○日より前に出発する場合は、できる限り1月6日以前に発券」「発券が1月7日を越える場合は、旅行者に改めて説明して確実に徴収」「その際には旅行者に迷惑がかからないよう、不信感を持たれないよう、理解を得ることに努める」ということになるだろうか。JATAは会員企業には、国税庁に製作を要請した新税導入の説明のためのリーフレットを提供し、店舗カウンターなどでの配布を促す考え。なお、すでに国税庁は事業者向けに、同庁と観光庁は合同で一般向けに、出国税の概要に関するリーフレットを制作し、ウェブサイトで公開している(事業者向け)(一般向け)。
ちなみに權田氏は「案2で定める『○月○日』より前に出発する旅行の発券日が1月7日以降となるケースは完全には避けられないが、大抵の場合、出発日の1ヶ月前には旅行代金の残金を受け取って発券に入るので、混乱は限られたものになると思う」との見方も示す。「○月○日」については、「多くの会社は出発日の2週間前くらいに発券するケースが多いので、1月下旬あたりが多くなるのでは」との見方を示し、「それ以前の1月中旬までに出発する商品の航空券を、6日より前に発券することはさほど難しくはない。そもそも年始に出発する旅行の航空券は多くの場合、年内には発券する」と説明。その上で「今回の文書は『6日までに発券しないと大変だ!』と煽り立てているわけではない」と強調する。
なお、本誌の調査によれば、JTBは2月4日、近畿日本ツーリストの「ホリデイ」は2月1日の出発から出国税を徴収するとしており、案2を採用したかたち。一方、エイチ・アイ・エス(HIS)は「○月○日」を定めない案1で「それぞれの利用者には国の説明に基づいて徴収の要否を伝える」としている。「基本的に出発の21日前に発券している」というジャルパックは、本来なら1月28日の出発から徴収開始となるところを、調整などを勘案し29日の出発から徴収。28日出発分の発券については6日以前に前倒しして対応すると見られる。ANAセールスは2月4日の出発からとした。
權田氏はそのほか、「○月○日」を2月1日に定めたところ、1月7日以降に申し込みを受け、1月31日以前に出発するような希少なケースについては、案2を活用して説明し、徴収のための理解を得ることを推奨。「○月○日以降に出発する旅行者から徴収する」とする各社の個別のルールの前に、1月7日以降の出国が徴収対象となる法律上の原則を明記することで「このような場合には徴収対象となることを説明すべき」と強調した。
今後については「TAXコードなどの決定がなされた後にさらなる案内を発出し、今回の2案とあわせて旅行会社における注意点をまとめたい」との考え。また、国税庁ウェブサイトの関連ページの活用も継続的に促す。
ちなみにクルーズ旅行に関しては「航空便を使用する旅行とは違い、発券日は関係ないので、大きな問題にはならないと見ている」との語る。また「船社ごとで徴収方法が異なると思うが、今のところ『問題になっている』とは聞いてない」という。