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地域が稼げる訪日旅行の構築を-JATA経営フォーラム

海外旅行のノウハウをインバウンドにも活用
旅行会社が関われるビジネス循環を

「旅行会社は待っているだけではダメ」

JATAの丸尾氏  日本旅行代表取締役会長で日本旅行業協会(JATA)副会長の丸尾和明氏は、「訪日外国人のFIT化とリピーター化は旅行会社にとってチャンス」と指摘し、宿泊、着地型商品、地上交通の3つにしっかり対応していく必要があるとの考えを示した。また、地方分散化については、30県以上で訪日外国人の宿泊率が1%以下であることを紹介し、「ここを伸ばしていくことが重要」との見解を示した。

 地域においては、地域ブランドを構築することで、観光圏を作ることの大切さを訴えるともに、外国人視点のマーケティングで消費内容、交通手段、日程などを把握すべきとの考えを披露した上で、「待っているだけではダメだろう。旅行会社は地域のDMOと一緒に考えながら、送客する必要がある」と強調した。


多くの人が関わることで観光を産業化した気仙沼

気仙沼商工会議所の菅原氏
 気仙沼の酒蔵である男山本店の代表取締役で、気仙沼商工会議所会頭の菅原昭彦氏は、これまでの気仙沼の観光振興の経緯を説明。2011年の東日本大震災によって基幹産業である水産業が壊滅的なダメージを受け、外貨獲得の手段がなくなったことから、本格的に観光を産業化し、「観光商品の開発」「マーケティング・マネージメント人材の育成」「DMOの構築」を重点テーマに稼げる態勢を整えていったという。

 そのうち観光商品の開発では、もともと地域に存在した水産業に付加価値をつけることで観光商品としたほか、気仙沼イチゴ、酒造、地魚などの新規事業者との商品開発も進めていることを説明した。現在のところ気仙沼への訪日外国人は年間1000人にも満たないことから、今後は20年に向けて、高額商品の造成、供給側の環境整備、複数のターゲット国への販路開拓をめざすという。

 人材育成では、「これまで各団体の役割分担が不明確で、モレやダブリがあった」との反省から、DMOをはじめとする観光振興組織を整備し直し、「DMOではなく参画事業者が稼げる」態勢を構築していくと説明した。菅原氏は、「地方創生は経済だけではなく、いろいろな人が関わることが大事」と強調。それによって、地域に誇りが生まれ、外国人に触れ合うことで自信も生まれ、若い人材が地域に戻り、新しい仕事が生まれるという好循環を生み出す必要性を訴えた。