てるみWGが最終報告書-弁済制度引き上げ、海外ツアー取扱額ごとに
▽60日前の「前受金」徴収、2割以上は目的など明記
「企業のガバナンスの強化」については、8月2日に発表した内容とほぼ同様の内容となった。このうち、旅行代金を事前に受け取る「前受金」については、最終報告書で規定を明確化。旅行出発の60日より前に、旅行代金の20%以上を徴収する場合、広告やパンフレットなどに支払い期間や使途を具体的に記載するよう求める。
規定は旅行会社の販管費や人件費などの経費などを考慮して設定。使途については人気ホテルなど早期にデポジットを支払う必要がある場合を想定する。前受金は使途に応じて、旅行会社から宿泊施設などに適切な時期に支払われるよう徹底する。
観光庁ではJATAとANTAに対し、12月中に「経営ガバナンスガイドライン」を策定するよう要請。前受金に関してはガイドラインに記載するとともに、消費者に対してわかりやすく情報を提供するよう求めている。
このほか、来年の4月から、旅行会社の経営状況を把握するため、第1種旅行業を対象に、従来は5年に1度提出している決算申告書などを、毎年各企業の事業の年度末に提出するよう義務づける。提出内容を確認し、急激に取扱額が増加した会社などについては、JATAやANTAに経営状況の調査を依頼する。5年に1度の旅行業の登録更新時には、観光庁への公認会計士などのチェックを受けた提出書類を義務付ける。
加えて、社内や他社からの通報を受け付けるため、第三者機関の通報窓口を来年4月に新設。広告表示や旅行者募集については、年内に数百日前からの「現金一括入金キャンペーン」などの不適切な広告を防ぐための取り組みを、JATAが策定した「旅行広告・取引条件説明書面ガイドライン」に記載する。
観光庁によれば、こうした再発防止策により、倒産した会社の負債総額の抑制と、消費者への弁済額の増加が見込めるという。弁済率は4割弱まで保証できるようになる見通し。例えばてるみくらぶの場合、旅行者に対する負債は約99億円、弁済保証の限度額は1億2000万円だったが、仮に再発防止策が実施されていたとすれば、負債額は10分の1の9億9000万円、弁済金額はボンド保証制度の加入分も加えると3億4000万円程度に増加するという。