豪州、座席増追い風に、持続可能な回復めざす
1月~3月で日本人3割増
回復へ「ラストチャンス」の覚悟求める声も
▽南オーストラリア州
南オーストラリア州では、日本市場向けにマーケティング予算を確保せず、自然に例年7000人から8000人の日本人が来る状態。ただし、南オーストラリア州政府観光局のマイケル・シーリガー氏は個人的な希望としつつ、「南オーストラリアには日本人旅行者に合った素材がたくさんある。市場全体の回復を受けて、局としての考え方に変化が起きれば」とコメントする。
シーリガー氏によると、過去2年間にアデレードで再開発が進んだが、「特にバーシーンが規制緩和で大きく変わった」という。豪州のバーというと規模の大きなパブのような店が多いが、規制見直しで出店しやすくなり、ウィスキーやラム、テキーラの専門店など小さなバーが約50軒できたという。
また、アクティビティでは、フルリオ半島を訪れるツアーが好評であるほか、ポートリンカーンでは新たにアワビやロブスター、牡蠣などを自分たちで獲って食べるツアーも人気。このほか、カンガルー島では4輪バギーやシーカヤック、サンドボーディングなどのアクティビティが増えている。
▽ノーザンテリトリー
15年の日本人は24%増の1万9000人と他地域と比較しても大きな伸び。ノーザンテリトリー政府観光局のレイチェル・ホイ氏は日豪間の座席増が主因と見ており、16年も2万2000人から2万4000人を見込む。
日本市場への働きかけは日本事務所を委託するアビアレップス・マーケティング・ガーデンを通して継続。長年の課題であるダーウィンなどトップエンドのツアー造成や、ウルルとアリススプリングスやキングスキャニオンの組み合わせを今後も働きかけていく。
日本市場でのターゲットについてホイ氏は、高額な航空券を購入しやすい熟年層と説明。写真撮影、ハイキング、バードウォッチングなど「友人がまだしたことのないようなユニークな体験」ができる場所としてアピールしていきたいという。
▽タスマニア州
タスマニア州政府観光局のカイリー・リアドン氏によると、日本市場は「劇的ではないものの回復傾向にあり、大変喜ばしい」状況。南オーストラリア州と同様、日本市場で主体的な活動はしていないが、TAの活動と連携し「日本市場にとってまだ新しい、未開発のデスティネーション」としてメディア露出をはかっていく。
特に、新しい素材として世界一のシングルモルトウィスキーとして表彰された蒸留所がタスマニアにあることをフックに、水や空気がきれいで良質な食材にも恵まれている点などを打ち出し、日本市場のオーストラリアリピーターに対して、新しい魅力を伝えていく考えだ。
取材:本誌 松本裕一