航空会社と旅行会社の連携で海外旅行復活へ-JATA経営フォーラム

デスティネーションの共同開発など
新たな企画で継続的な需要喚起を

需要減でも継続的に商品を出し続けるべき

JLの二宮氏  JATAでは、ツーウェイツーリズムによる交流大国をめざすために、20年の海外旅行者数の目標として2000万人を掲げている。この点については3氏とも、「アウトバウンド市場に潜在性はある」との見解で一致。志岐氏は「継続的に需要喚起に努めていくべき」、二宮氏は「旅客流動の平準化のためにもアウトのレジャーは大切」、伊藤氏は「いろいろなチャンネルで販売していくことが必要」との意見を披露した。

 ただし二宮氏は「旅行会社は一般的に利益率が低く、利益の出る商品でなければリスクはなかなか取りづらい」とも指摘。2000万人の目標についても、「人数が増えることはいいことだが、大手以外の旅行会社は、どれだけ利益率を上げるかに注力しており、出国人数は気にしていないのではないか。そこにJATAとのギャップを感じる」と発言した。

 伊藤氏は、「需要が落ちても、あきらめずに商品を出し続けることが大切」とし、その理由として「需要が落ちたからといって商品化を止めると、戻ってきた時にランドが確保できない恐れがある」と警鐘を鳴らした。


新しい形で共同キャンペーンを

壇上で意見交換する4氏  最後に、今年1月にフランスへ派遣された官民視察団にJLとNHも加わったことを例に、旅行会社と航空会社との連携について議論が展開された。志岐氏は、「旅行者のニーズを探るために、航空会社と旅行会社の顧客データベースを重ねながら、これまでとは異なる形でデスティネーション開発をおこなうべきではないか」と主張。二宮氏は、JLとJRグループの新しいコラボとして、大手旅行会社が発売する北海道新幹線と旅客便を片道ずつ利用して北海道と青森を周遊する旅行商品を紹介しながら、「企画で勝負するところはある。知恵を出し続けていくことが大切」と発言した。また、パスポートの取得率向上など、さまざまな働きかけを共同でおこなう必要性にも言及した。

 伊藤氏は、JRが展開しているデスティネーションキャンペーンを例に出し、「旅行会社と航空会社との共同でデスティネーション開発を」と訴えた。また、海外旅行者数が伸び悩む背景には、「円安やテロなど外的な要因以外に、構造的な問題があるのではないか」と指摘。「何のために海外に行くのかという本質的な部分を突き詰めて、いい商品を造成しなければ、需要創造にはつながらないのでは」と主張した。


取材:山田友樹