航空会社と旅行会社の連携で海外旅行復活へ-JATA経営フォーラム
デスティネーションの共同開発など
新たな企画で継続的な需要喚起を
JTBは「リスクを負ってリターンを得る」
JTBグループ本社執行役員旅行事業本部副本部長の伊藤智氏は、航空座席の仕入れ環境の変化に言及。「航空会社のイールドマネージメントの強化、インバウンドの増加によってパッケージでの確保は難しくなってきた」と現状を説明。その上で、「リスクを負ってリターンを得ていく」と強調し、座席の買い取りやチャーターを積極的に進めていく方針を示した。また、「個人、団体、メディアなどをあわせた一元的な仕入れが望ましい」とし、「JTBとしてオールブランド、オールチャンネルで売り切っていく」との戦略を明らかにした。
JTBは16年度から、ルックJTBの黄色パンフレットで旅行代金変動制を導入する。この背景についても伊藤氏は「航空座席などの仕入れ環境の厳しさ」を挙げ、「早く売り切るため」の戦略と説明。二宮氏は「間際で安くなるのはよろしくない。すでにウェブでは需給によって価格が変動するのは当たり前だが、パンフレットでは難しかった」とJTBの取り組みを評価した。
海外旅行市場底上げのカギは地方
今後の海外旅行市場の拡大に向けた議論では、越智氏は「地方からの送客が課題」と指摘。その上で、航空会社の果たす役割について問題を提起した。
NHの志岐氏は、日本のさまざまな都市から海外に行くための仕組みとして、JWの路線拡大と、羽田発の国際線を活かした内際乗り継ぎによる送客に言及。「両方を強化していくことで、海外旅行者数の増加に貢献してきたい」とした。
JLの二宮氏は、「地方から海外へチャーター便を飛ばすのは昔の話」と述べた上で、「インバウンドの増加で外航の地方路線も拡充してきた。こうした路線を商品化して日本人旅行者に利用してもらうことも必要」と話した。
JTBの伊藤氏は、航空会社の取り組みに加えて、地方でのパスポート取得率を上げていく必要性を訴え、「かつてトヨタが自動車免許取得キャンペーンを実施たように、業界を挙げて取り組む必要がある」と強調した。