トップインタビュー:ニュージーランド政府観光局日本局長の猪膝直樹氏

春・秋のショルダーシーズンの取組強化
リピーター獲得めざし商品の多様化へ

-ショルダーシーズン対策についてお考えをお聞かせ下さい

猪膝 今までは夏のハイシーズンと春、秋のショルダーシーズンのバランスを取ったマーケティングをおこなってきたが、今年はウェイトを少し変え、予算のほとんどをショルダーシーズンに予算を費やしていきたいと思っている。ハイシーズンはホテルも取りにくくなるので、ピークの分散ができればと考えている。

 ただし、ホテルの部屋を旅行会社が事前にブロックしておき、結局使わないケースもある。旅行会社やオペレーターなどが、できるだけ部屋を実際に使うように空き室をコントロールすることが重要なのではないか。また、ニュージーランドには質の高いB&Bやモーテルなども多くあるので、FIT向けに展開できるOTAなどにアプローチしていきたい。

 春や秋は非常に旅行のしやすい時期。夏場と違って暑すぎることもなく、アウトドアでのトレッキングなどにも適した時期だろう。また、16年はニュージーランド航空(NZ)が3月28日から5月7日まで増便し、週9便で運航することを決定している。4月はちょうど秋なので、NZと協力しながらシニアを中心にアピールをしていきたい。ニュージーランドへの直行便はNZのみが運航している。また、日本で活動している観光局もTNZのみなのでうまく協力してプロモーションをおこなっていきたい。


-リピーター層に対する取り組みは

猪膝 リピーターは我々がねらっていきたいと考えている市場だ。リピーターの数字は掴みづらいが、観光客のうち約3割と見ている。現在、ニュージーランドへの旅行商品は、クライストチャーチ、テカポ、マウントクック、クイーンズタウン、ロトルア、オークランドなど代表的な観光地を訪れる「ゴールデンルート」に偏っている。リピーターは同じルートには行かず、航空券や宿泊施設を自分で手配してFITとして行く人が多いのではないか。

 例えば、クイーンズタウンで3泊以上してみたい、という旅行者がいても、今はそういう商品がない。今後、旅行会社の皆様とリピーター向けの商品を開発し、プロモーションをしていくのも1つのアイデアだろう。

 ただし、ゴールデンルートとされている観光地を無視するのではなく、あくまでもそれがベースにある上で、プラスアルファの商品をリピーター向けに開発していただければと考えている。例えば、クイーンズタウンから車で約2時間のテ・アナウの町は、ミルフォード・サウンドに至る通過点となっているが、テ・アナウをベースにしたトレッキングコースは山ほどある。車で北に40分の湖畔の町グレノーキーは自然を楽しむことができる。また、北島のロトルアには温泉やマオリ族の文化だけでなく、非常に沢山のアクティビティがある。我々としても目線を変えて、観光地の周囲の魅力をもう少し堪能できるように考えていかなければならない。

 FIT向けの旅行商品は顧客のニーズが広範囲に渡っており、商品造成や販売などの労力に収入が追いついてこないことが往々にしてある。しかし、近年はウェブサイト経由の予約も増えてきた。FIT向けの旅行商品はオンラインを活用すればコストもかからないのではないか。


-ありがとうございました