エチオピア航空が就航、アフリカ直行便復活-増便や羽田線に意欲
▽観光客獲得に向け世界遺産などアピール、旅行会社との関係強化
翌24日には、駐日エチオピア大使館が旅行会社約30社の造成担当者を招き、観光セミナーと商談会を実施した。エチオピア観光協会CEOのソロモン・タデッセ氏は、同国と他のアフリカ諸国を比較し、世界遺産などの観光資源が多いことや、治安が良いことをアピール。「東京の街を歩いてみて治安が良いことを知ったが、エチオピアに来ても近い感覚を持っていただけるのではないか」との見方を示した。なお、外務省が発表している渡航情報では、エリトリアやソマリアとの国境地帯や、東部のソマリ州などについては退避勧告や渡航延期勧告が発出されているが、そのほかの地域は「十分注意」にとどまっている。
日本旅行業協会(JATA)理事長の中村達朗氏は、「文化や歴史、自然の豊かな国だが、その魅力に関する情報が、旅行会社にも入ってきていない」と指摘。この日の商談会や、今年も9月に開催する「ツーリズムEXPOジャパン2015」などにより、旅行会社との関係が強化されることに期待を示した。駐日エチオピア大使のマルコス・タクレ・リケ氏も、「日本ではまだまだ認知されていないが、エチオピアのホスピタリティ産業は質量ともに拡大している」とアピールした。
この日はそのほか、アフリカなどを専門とするランドオペレーターのゲートオブアフリカから代表の村上新一郎氏が登壇し、エチオピアの主要観光地に関するプレゼンテーションを実施。9つの世界遺産や、エチオピア正教の大祭「マスカル」などの魅力を紹介した。村上氏は、ETの成田/アディスアベバ線を利用すれば、最短で6日間のツアーも催行できることを説明し、ツアー造成における可能性が拡大したことを強調した。
日本人渡航者数については国連世界観光機関(UNWTO)の統計をもとに、2007年の1905人から11年には3283人へと、近年は拡大傾向にあることを報告。12年以降についても「さらに増えているのでは」との推測を示した。駐日エチオピア大使館によれば、直近の日本人へのビザ発給総数は観光・商用合わせて2013年が2096、2014年が1778。ただし、エジプトなど隣国の大使館でビザを取得する個人旅行者や、アディスアベバのボレ国際空港でアライバルビザを取得する旅行者も相当数存在することから、12年以降の入国者数も、11年と同程度かそれ以上の水準にあると考えられるという。
セミナーの終了後、本誌の取材に応えたソロモン氏は、日本就航が実現した今年は日本人旅行者数を現在の倍の6000人に、2016年には1万人以上に、それぞれ引き上げたい考えを示した。今後はJATAや日本の旅行会社との連携を強化するとともに、現地の観光インフラの整備に注力したいという。